Vol.52 (6日目)【子供がくれた一粒のチョコ】


Vol.52 (6日目)【一粒のチョコ】

2013年11月19日(火) 【子供がくれた一粒のチョコ】

前回からのつづきです…

バルーンアートと折り紙の授業を終えて、ネルーさんから今のスラムの状況を伺う。

ネルーさんは、ベルギー政府から支援を受けて活動をしているNGOの方。

現地でスラムの子供たちを、実際に支援し続けているネルーさんの具体的な話は、とても参考になるものばかりだった。
※詳細は次回に投稿します。

スラムでの活動も無事終了。

来る時に通ってきた細い路地を歩いて帰る。

途中、スラムの家の中を撮影させてもらった。

ここに来る時に遭遇したどしゃ降りのスコールの影響で、彼らの家の中は床上浸水状態。

スラムでの生活は、雨が降るたびに家の中が水浸しになる。

そんな最悪の環境で生活しなければならない場所が、ここスラムには存在するのだ。

複雑に入り組んだスラムの路地を歩いていると、突然、小学校低学年くらいの子供からむき出しのチョコをプレゼントされる。

「え!?これを俺に!?くれるの!?」

いきなりやってきた知らない日本人に対して、自分が食べている食べ物をプレゼントする行為。

自分のことだけで精一杯なはずのスラムの子供から、感謝の気持ちとして何かをもらえるなんて想像すらしていなかった。

もし自分がこの子供と同じ境遇だったら、同じような行動が取れるだろうか。

ありがたく受け取ったものの、衛生上の問題が気になってなかなか口にすることができない。

サージャンにも確認してみたが、「食べない方がいい」と。

チョコを手に持ったまま、心苦しい気持ちで駅に向かってスラムの路地を歩いていく。

子供から感謝の気持ちをプレゼントされ、ものすごく嬉しい気持ちと、その気持ちを消化できない悲しい気持ちが入り混じった複雑な心境。

チョコをくれた子供が一緒にくっついてきて、私の顔を覗き込む。

せっかくプレゼントしたのにチョコを食べてくれない私を見て、あの子供は何を思っただろうか。

こんな小さな子供からもらったチョコを、すぐに口に運べなかった自分がいる。

この子供の想いよりも、自分のお腹を優先したことが、情けなくそして自分に腹が立った。

支援活動と言いながらも、実は私は心の底から相手のことを思ってあげてないのではないか。

こうした活動は所詮、自己満足に過ぎないのか。

自分は何かの見返りを期待しているのだろうか。

自分はただの偽善者ではないだろうか。

結局は自分がかわいいだけなのか。

いろんな思いが浮かんできて、胸が締め付けられる。

「俺、何しにインドに来てんだよ…」

日本で暮らしているだけであれば、決して味わうことのない今回の体験。

パソコンの画面を通して得た情報だけで、少しはスラムのことをわかった気になっていた。

机上で得た知識なんて、知的欲求を満足させるだけで、現実問題の解決にはつながっていかないのか。

サージャンの言葉が、頭の中を駆け巡る。

「今インドがどういう国なのか、誰もわかってない。ここが本当のインドだよ!ここ来たらみんなわかる!」
(DVD『呼ばれて行く国インド』スラム街のボランティアガイド、サージャンの言葉より)

突然心に芽生えた問題に対し、明確な答えを出すことができないまま歩いていく。

握りしめたチョコは、だんだんと手の中で溶けはじめていた…。

つづく…。

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