社会的背景
「チベット問題」
ヒマラヤ山脈の北側に広がる、平均海抜4500mのチベット高原。そのほとんどが、かつてラサを都とする独立国「チベット」でした。
現在、チベットという国はありません。
現在も世界の屋根と呼ばれる高原地帯で、牧畜や農耕をなりわいとし、主に仏教を信仰する「チベット人」が600万人ほど暮らしています。なぜ、「チベット」はなくなってしまったのでしょうか?
1949年に口火を切った中国の侵略により、チベットは圧倒的な武力ですぐに陥落し、1959年に指導者のダライ・ラマ14世がインドに亡命し、北インドのダラムサラにチベット亡命政府を樹立しました。チベットは、チベット自治区と四川省などに組み入れられ、現在では中国の一部になっています。一方、15万人余りのチベット人が亡命し、今もインドやネパールの難民居留地で暮らしています。
現在、チベット本土では中国による「入植・経済・文化・環境」政策により「信仰・言語・移動の自由」を奪われ、子どもたちはチベット語の授業を受けることができません。
豊かな独自文化を育んできた「チベット」という文化そのものが消滅しようとしています。(民族浄化)
信仰の自由、表現の自由、移動の自由、教育の自由、、
問題意識
チベットという独自文化を守るため、亡命政権である中央チベット政権(CTA)は、
- 高度な教育
- チベット仏教の存続
- 伝統文化の継承
を柱に取り組んでいます。
1.の高度な教育については、亡命当時から力を入れて取り組まれてきました。
チベット子供村(TCV)を中心とした先進的な教育は、世界各国から視察が訪れます。
事実、小学校6年生段階では英語・チベット語・ヒンディー語・中国語を話し、英語でディベートを行うなど言語力だけで言うと日本の遥か先を進んでいます。
しかし、それは諸外国からの支援のみで成り立っており、12年生(高3相当)を終えるとその先の高等教育(大学・専門学校)へ進学させることができる家庭は皆無です。
せっかく身に付けた高度な教育が、そこで止まってしまうのです。
チベット難民の大学進学率はアジア最貧国のネパールを下回り、7.7人に1人という厳しい現状です。2014年度は進学を希望した約500名の生徒のうち、奨学金を獲得して進学した生徒は約180名に止まりました。(レインボーチルドレン奨学金の20名も寄与し前年度より倍増)
また、インドの男女教育格差が世界126位とワースト圏内であることを考慮し、レインボーチルドレンは女性の大学進学を応援していきます。
2014年度は奨学生30名の内、20名(66.6%)が女子学生の構成でした。