チベットは日本の恩人って本当?


遥か海を越えた両国の友好には、歴史の裏に隠された2つの知られざる物語があった―。

この冬上映中の<日本・トルコ合作映画>海難1890では、日本トルコ友好125周年を迎え(2015年)、日本とトルコの友好が描かれています。

そんな深い絆の物語が、日本とチベットの間にもあったことをご存知ですか?

第二次世界大戦でチベットは日本を守った?

第二次世界大戦中はチベット政府は日本に同情的な立場から、羊毛を経済制裁で苦しむ日本へ輸出し、連合国側の補給路確保要請もチベットは中立を通し拒否した。しかし後に米英ソの後ろ盾で日本に対抗した中国が国連の常任理事国になった事で、後に中国によるチベット侵攻は国連で議論されなくなる。(ウィキペディアより)

まず、太平洋戦争の開戦前、経済封鎖され困窮していた日本に「同じ仏教国が苦しい思いをしているから」と、チベット政府は「大量の羊毛」を支援してくれました。これは義侠心に駆られた一部の富豪が個人的に行ったことで、チベット政府は関係ないとする説もあります。しかし、現在も世界的な自然災害などで日本から義捐金を送る時などは、多くが民間の日本人としての行動です。チベットから日本に対するひとつのご恩だと考えます。

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ダライ・ラマ13世

そして、第二次世界大戦の時、連合軍側の「物資を中国に送るためにチベットを通過させてほしい」との要求に対して、日本との関係を重んじ、ダライ・ラマ13世は最後まで中立を貫き拒否しました。これは中立という立場を守ったのであり、日本を守るための行動ではなかったとする説もありますが、果たして事実はどうでしょうか。今は亡きダライ・ラマ13世に聞かないと分からないですが、次の章でもその背景が推察できます。友好国である日本を守りたい、しかし連合国に敵対する軍力もない、せめて中立を貫き連合国側に加担することを避けたかった、というのが事実ではないでしょうか。

しかし、あの大戦の状況の中で連合国側に対して中立の強い態度を示した国が、アジアの中で他にあったでしょうか。その殆んどが欧米の植民地とされその支配下に置かれていた時代に、それを覆していった日本に対する中立固持は、友好の証しだと考えることができると思います。

また、この中立を貫いた事実が、やがてチベットに悲劇をもたらす結果となったとも言われています。

チベット国旗は日本人が作った?

チベットに滞在していた日本人チベット研究者・青木文教は自著『祕密之國 西藏遊記』(内外出版、1920年(大正9年)発行)において、チベット軍の司令官と青木が戯れとして、それまでの軍旗でも使われていたチベットの記号(雪山・唐獅子・日・月)と、大日本帝国陸軍が軍旗として考案・使用していた旭日旗に擬似する意匠(旭日)を組み合わせ、新しく図案を作ったものがたまたま新しい「軍旗」として採用されたと記している。(ウィキペディアより)

チベット国旗

チベットの国旗は旗の正面に位置する白い雪山の前面で、2頭のスノー・ライオン(唐獅子)が 3つの宝石を支えているものです。民族独立を果たしたいという願いと、日露戦争や日清戦争での日本の活躍に憧れを抱いていた、ダライ・ラマ13世の信頼が厚かった青木文教が、日本の旭日旗 のデザインに着眼してチベットの国旗を作成したとされています。

青木 文教  旧名・仏教大学(現・龍谷大学)在学時の1910年(明治43年)、チベットに派遣され、1912年(大正元年)にラサ入りを果たす。チベット仏教を研究し、主にチベットの市井で多くのチベット仏教に関する文物を収集した。雪山獅子旗のデザインもする。そして、文教がチベットを離れる最後の一夜はダライ・ラマ13世と就寝したなど、深く現地に溶け込んだ。(ウィキペディアより)

ラサ憧憬: 青木文教とチベット 高本 康子 (著)
ラサ憧憬: 青木文教とチベット 高本 康子 (著)

その姿から雪山獅子旗と呼ばれるチベット国旗の現在のデザインは、日本人によるものだったのですね。そして、青木文教とダライ・ラマ13世との親交の様子を窺うと、前章でその後に中立を貫いたダライ・ラマ13世の想いが浮かぶような気がしませんか?

日本人とチベット人だけが持つ遺伝子について

日本人とチベット人だけが持つ遺伝子について

最後は以前に書いたこの記事です。2000以上のいいねを頂いている記事ですので、一度は目にされたことがあるかも知れません。羊毛のこと、連合国軍の要請に対して中立を貫いたこと、国旗のこと、すべては兄弟の遺伝子をもつ日本とチベットの魂の物語のように思えます。

友好や、絆という関係よりもっと深くて強い、魂のつながりが日本とチベットをつないでいるのだと思えてなりません。

そこにあるのは、平和の遺伝子。

皆さんも、ふと懐かしく思える顔や風景に会いに、チベットやダラムサラを訪れてみませんか?

日本人として生まれたからこそできることに、気付くかも知れません。

 

日本はチベットに恩がある。これもチベットの利他のこころでしょうか。アメリカや中国という大国にも屈せず、平和的解決を貫く姿。Rainbow Children の活動もその恩返しの一助となればと思います。

Posted by レインボーチルドレン(特定非営利活動法人Rainbow Children Japan) on 2013年5月1日

 

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