チベット語をうまく話せない!?今年のミスチベット受賞者Tenzing Sangnyiさんの言葉


 

北インド・ダラムサラで行われていた今年のミスチベット2016受賞者が決まりました。

公開されたTenzing Sangnyiさんの受賞挨拶を紹介します。(日本語訳あり)

A short note from Miss Tibet Tenzing Sangnyi:

First of all, I would like to thank everyone for their support and good wishes. Being crowned the Miss Tibet is a dream come true and I could not be happier to be given an opportunity to serve my country.

But lately, I have been receiving criticism for my imperfect Tibetan. But even more, I have been bullied online and made a mockery of — not just for my lack of fluency, but also for my appearance. I want to assure all my Tibetan friends and supporters, and especially my critics, that I am a Tibetan by blood and heart. And as for my fluency, I do plan to put in the effort to improve my Tibetan.

Just like many of my Tibetan friends, I have had a tough journey being brought up in an environment where I did not have the chance to interact with Tibetan speakers. Only recently, have I come to meet so many Tibetan people and learn so much about our culture. It has only made me love Tibet and Tibetans more, and this love for my culture drew me towards this Pageant.

Having said that, I am confident that my shortcomings in language do not make me any less of a Tibetan. I am more determined than ever to do something for my country. I am young and enthusiastic, so I hope you can all see the dedication I have. Instead of blaming me and my family, encourage me in this wonderful journey to do something for my country.

Lastly, I request all Tibetans to stand as one and stop bullying anyone for their colour, appearance, or speech. Instead, encourage them and help them overcome their shortcomings.

Bhoe Gyalo

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はじめに、みなさんのサポートとご好意に感謝します。
ミスチベットに選ばれるという夢が叶い、チベットに奉仕できる機会を得たことは何よりの幸せです。

ですが最近、私の不十分なチベット語に対する批判を受けてきました。流暢ではないチベット語だけではなく、私自身の外見をインターネット上でばかにされ、いじめを受けました。
私はすべてのチベット人の友人、サポーター、そして特に私を批判する人々に、私は血と心からチベット人であることを断言します。
そして言語の流暢さに関しては、チベット語を上達するための努力をするつもりです。
私の多くのチベット人の友人たちのように、チベット人と関わる機会のない環境で育ったことは厳しい道でした。最近になって多くのチベット人に出会うようになり、チベットの文化により深く触れるようになりました。そうして、チベットを、チベット人を大切に思うようになり、その愛が今回のミスチベットに私を導きました。

言語の面で至らない部分があっても、私はチベット人だと自信を持って言えます。私には私の国、チベットのために何かをするというかつてないほどの決意があるのです。私は若く、情熱に溢れています。だから私のこの想いを汲んでいただければ幸いです。私や私の家族を責める代わりに、私の国に対して働きかけるこの素晴らしい旅路を応援してください。

最後に、みなさんにお願いがあります。肌の色や外見、スピーチで誰かをいじめるのをやめて、一つになりましょう。代わりに彼らを励まし、不十分な点を克服できるよう手を差し伸べていきましょう。

チベットに自由を。

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(日本語訳:田村友佳)


お読み下さってありがとうございました。

Tenzing Sangnyiさんの受賞を心より祝福し、これから1年のミスチベットとしての活動を応援いたします。

今回のブログ題名はもちろんTenzing Sangnyiさんを非難する意図はありません。チベットの文化や言語を守ることをひとつの目的として教育支援に取り組むレインボーチルドレンとして、チベット語が失われつつある現状を皆さまにお伝えしたいのです。

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失われつつあるチベット語と教育の現状

現在中国本土(チベット自治区およびチベット族居住区域)では、チベット語による教育を受けることができません。(チベットプロジェクト:社会背景と問題意識参照)

一方インド・ネパールを中心とする難民社会では、チベット語の教育を受けることができます。奨学金事業で協働するチベット亡命政府教育省では、インド・ネパール・ブータンにある73校のチベット学校を管轄しています。

現在その73校では、チベット文化を守り受け継ぐためのチベット伝統教育を実施しています。中でももっともチベット語教育に力を入れているのが教育省直轄のペトンスクールであり、プライマリースクールまでの6年間はすべてチベット語による授業が行われています。しかしその他の学校では運営母体が教育省直轄・インド政府・基金に分かれており、チベット語教育に差が生じてしまっているのが現状です。

また、住居の近くにチベット校がないと通うこともできません。

今回の受賞者Tenzing Sangnyiはインドで難民二世として生まれました。北インドのマナリで育ち、学校へ通いましたが、そこは前述チベット校ではなくインドの学校であったため、チベット語による教育はおろか、学校にチベット人が一人もいないという環境で学校を卒業しました。

そんな理由でチベット語をうまく話せない彼女にバッシングがあったことを、受賞スピーチの中で明かしているのです。

それは彼女の責任ではありません。難民としての生活が長期化し(55年以上)、それが定着していくことによって、また新たな問題が生まれてきます。守ろうとしなければ守れない、受け継いでいくことができない難しさがあります。

それが今のチベット文化や言語の現状であることを、このスピーチは伝えています。

 

あなたの大切なものは何ですか?

家族や友達、恋人かも知れません。

夢中で打ち込んでいること、大事な宝物、将来の夢かもしれません。

日本人だと当たり前のものが沢山あります。

それを選択するのも自由です。

もし、明日から学校で日本語の授業をうけることができなくなったら。

もし、明日から神社やお寺への参拝を自由にできなくなったら。

もし、自由に海外へ行けない状態になってしまったら。

日本という国、文化、日本語、伝統が消えようとしたら。。。

 

レインボーチルドレンの奨学生達は、チベットの文化や言語、伝統を後世へ繋いでゆくために、またチベットへ貢献するためにと、日々学んでいます。
momo

そんな彼らを支援しているレインボーチルドレンとしては、彼らを含め、たくさんの難民の若者達が今直面している問題について、お伝えしたいと思いました。

ぜひ、レインボーチルドレンの取り組みをご覧ください。

→ チベットプロジェクト:レインボーチルドレン奨学金について