【初めてのインド訪問】帯広畜産大学共同獣医学課程4年黒澤拓斗


 

今回、一か月のインド訪問を決めた理由は貧困を見るためである。インドは現在、めざましい発展をとげているが、その一方で多数の人が発展から取り残されているのが現状である。インド訪問を決めた際に、「都市部」と「農村部」の貧困が見たいと思った。それらの貧困は、原因・質が異なると考えたからである。都市部の貧困を見るために、ネットで見かけたNPO団体レインボーチルドレンの石川代表にスラムプロジェクトのボランティアに参加したいと申し出たところ快くOKと言ってくださった。

このプロジェクトに参加して一番良かったことは、スラムを自分の目で実際に見れたことである。正直に言って、インドに行く前は、スラムについて自分は無知であり、自分が持つスラムのイメージは、日本国民が持つ一般的なスラムのイメージとほとんど同じであったと思う。すなわち、危険で、汚く、みんな飢えている、と言った典型的なものである。しかし、実際に行ってみて感じたことは、スラムは、自分たちが暮らしている世界に確かにあり、そしてそこに暮らしている人間は、私たちと何一つ変わらないということである。むしろ、現実離れしたようなお金持ちの人たちよりは、よっぽど人間らしい生活をしているなと思った。その一方、衛生環境の悪さ(野良犬などの野良動物の多さ、ハエなどの昆虫の多さ、ごみの散乱具合など)も目についた。しかし、建物なども想像以上にきちんとしていて、そこはスラムと呼ぶより「混沌としている少し汚い町」の方が相応しいと私は感じた。

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スラムができあがる原因は様々であるが、その中の大きな一つは、教育のなさである。スラムに生まれた子供たちはまともな教育を受けられず、まともな職に就けず、お金のないまま大人になり、スラムに住み続け、そして親になり、同じことが繰り返される。しかし、その悪循環を断ち切るためにインド人たちがスラム内に学校をつくっている。何より素晴らしいのは、そんな彼らがスラム出身であるということだ。外人が言うよりも、スラム出身の彼らの方がスラムの人たちにはよっぽど説得力がある。レインボーチルドレンさんにはそんな彼らをこれからもぜひ支えてほしいと思う。今回のインド滞在でお世話になったNPOレインボーチルドレンの石川代表にはこの場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。またぜひ一緒にビールを飲みましょう。