ゆうかのインド奮闘記⑧ チベット人学生との交流からふと思う


 

ナマステ!現地インターンのゆうかです。

先日、サラ大学に一週間ほど滞在し、レインボーチルドレンが支援する学生たちに会いにいきました。

サラ大学(College for Higher Tibetan Studies)とは、ダラムサラの麓に位置するチベットの文化や言語、宗教を次の世代へ継承していくために創設された大学です。

実際にチベット本土から亡命してきた人も学生のなかには数多くいます。

 

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学生との面談や教員の方々との雑談、放課後の何気ない交流などを通して、チベット社会がさらに深く見えた日々。今日は、サラ大学での滞在を通して感じたことを綴ります。

 

 

”家族にも伝えず、国を離れてきたこと”

「国境を越えたときに初めて家族に連絡できた」

 

”追いかけてくる親を振り払ってまで、山を越えたいという意思”

「教育を受けたい、チベット語を学びたい。ただその一心だった」

 

”死と向き合わせで越えたヒマラヤ” 

「いつ中国政府に見つかってしまうかわからないその恐怖で、凍傷しかけた手足に気付いたのは国境を越えた時だった」

 

”親や兄弟がまだ投獄されていること”

「家族とは1年に一度連絡が取れたらいい。話したいことはたくさんある。けれど、今どこにいるかさえ伝えられないんだよ」

 

 

彼らと交わす言葉一つひとつが胸に突き刺さる。

本やドキュメンタリーを通して知っていても、実際に学生から聞くことはまた異なる重みがありました。

この短期間に彼らが歩んできた人生を十分に受け止められる自信など到底なく、彼らの発する言葉一つ一つにただただ全身全霊で向き合うことに集中していました。

学びに対する熱い想い。

チベットの文化を守りたい。その一心で勉学に向き合う姿。

心から彼らを敬う想いを抱いてやまない。同じ学生として触発されて仕方ない。

 

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彼らの私生活にも驚きました。

空き時間には何をしているの?と尋ねると、

「詩を読んでいる」「詩を書いている」

そんな答えが多くの学生から返ってくるのです。

 

「IC(Identity Certificate)はただの名前が書かれた身分証明書であり、自分の国はどこにも記されない。無国籍と書いてあるだけ。この地球に生まれたのに、どこにも属していないかのような感覚をもつことがあるんだ。」

 

そんな胸中を明かしてくれた学生もいました。

彼も日々、詩や物語を書いているそうです。

内に秘めたこの溢れんばかりの想いを外に吐き出す手段の一つが詩なのでしょうか。

 

いつか彼らの紡いだ言葉に触れてみたい。

いつか彼の書く物語を読んでみたい。

サラの学生は言葉で伝えることに長けた学生が多いことに気づきました。ただ話している時でさえその情景が目に浮かぶ言葉の豊かさ。

失われようとしているチベット、チベットの言葉、文化がこんなに豊かに彼らの中に生きているということ。

 

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本土では日に日に弾圧が強まり、チベット語を学ぶ機会はほぼありません。チベット語を話すだけで、罰金を払わなければいけない地域も存在します。こうした状況に焦りを感じながらも、こうして前に進もうとしている学生がいることが何よりもの希望です。

 

彼らがいかにチベット社会にとって貴重な人材であるのか、チベット社会のことを深く知るようになり改めて感じています。