チベット亡命政権首相ロブサン・センゲ来日講演


『Melting Tibet, Threat to Asia』
『融けゆくチベット氷河、アジアの新たな脅威』

と題された、チベット亡命政権のロブサン・センゲ首相の来日講演に、メンバー4人で参加してきました。

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場所は東京の護国寺です。直後に記者会見やパーティも控えていたので、かなりの人数が集まっていました。関西からの日帰り参加でしたので、残念ながらこの講演のみの参加となりました。

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まずは、センゲ首相(主席大臣)について紹介しておきます。

1968年、インドに生れ、チベット難民学校卒業後、デリー大学法学部卒業。
1996年、奨学生で米ハーバード大学で修士、2004年、法学博士号取得。卒業後同大学の研究生。
2007年、アジア・ソサエティが選んだ「アジアのヤングリーダー」24人の一人。
2011年、ダライ・ラマ法王の政治的引退発表後、チベット亡命者民衆の投票で主席大臣に選ばれ、8月8日、主席大臣に就任。
主席大臣就任以来、日本を訪問するのは2回目。

 

2012年にレインボーチルドレン奨学金をスタートした際に、ダラムサラの首相官邸でお会いして以来でした。変わらずお元気そうでした。

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講演テーマは環境についてでしたが、精神的(宗教)な観点、地政学的な観点、政治的な観点、そして環境的な観点からチベットのことを分かりやすくお話しくださいました。

印象深かった話だけお伝えすると、中国の支配によりチベット仏教が以前より発展したという視点です。1959年から始まる中国の侵攻によってチベット僧院の98%は破壊されてしましました。しかし、その後のダライ・ラマ法王の亡命によって、チベット仏教にとって仏教の故郷であるインド各地に僧院が再建され、さらに世界中に僧院が拡大していったのです。

チベット問題では悪い面が強調されますが、良い面もあるということを政治のトップが公に話されるということは、我々チベット支援側にとって良いメッセージでした。物事には様々な側面があり、何事も多面的に捉えることが必要であるという仏教の教えでした。世俗の我々にとって、今もチベットに降り注いでいる悲惨な現状を「空」や「無常」と捉え、看過することは到底できないのですが、ひとつの「因果」がここにありました。

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また、環境面ではTibet Climate Actionでもお伝えした、チベット氷河(チベット高原)の地球における重要性についてお話しされました。印象深かったのは、「石油の戦争の次には水の戦争の時代が来る」という視点です。世界の人口膨大に伴い、食料や水資源の争奪が既に始まっていますが、その水資源を保有するのがアジアの屋根であるチベット氷河(チベット高原)であり、そこを支配しようとしているのが中国です。

チベット高原を源流とする河川で始まっている水位減少や汚染は、その原因が中国によるダム建設、チベット自治区の都市開発、鉱物の乱開発にあるという論点でした。納得感のある中道アプローチです。このTibet Climate Actionはレインボーチルドレンとして、今後も支持していきたいと思います。

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時折アメリカ仕込みのジョークをまじえ、聴衆に配慮する場面も多くみられ、それは2012年に個人活動として訪れた日本人をあたたかく迎えてくださった時と変わらないものでした。

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現在は首相選挙の最中ですが、春に再任が決定することが望まれます。その暁には、ダラムサラで再び首相官邸を訪れたいと思います。

レインボーチルドレン奨学金では、現在50名のチベット難民の学生たちがインドの大学で学んでいます。目標は来年度に常時100名の体制を整えることです。将来は奨学生の中からセンゲ首相のようなリーダーや、世界の各分野で活躍できるリーダーが誕生することを願っています。教育は世界を変える!

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