奨学生FILE. Tenzin Rain(仮名/6期生)


※自身で亡命してきた奨学生であり、本人および家族に及ぶリスクを回避するため仮名としています。また写真も正面写真でないものを使用しています。

Tenzin Rain君(仮名)はデリー大学で勉強している学生です。見た目ちょっとかっこいい学生って感じでした(笑)
彼は大学の学生寮ではなく、デリー北部にあるチベット人の集まるMajnu ka Tillaで生活をし、そこから大学へ通っています。

彼は現在、デリー大学の〇△× collegeの2年生。政治学を勉強しています。

行政、インドの法律と権利、国際関係論などの科目を勉強中です。

将来の夢は、「将来のことはわからないけど、、」と言っていましたが、政治の指導者、弁護士もしくは学校の先生になることです。

「指導者になって不平等をなくしたい、ジェンダーやチベットの人々の境遇を改善したい。」

大学卒業後はそのまま、修士・博士をとるために大学院へ進学を考えています。日本ではあまりが馴染みがないですが、インドやチベットで指導者の立場になるには博士の資格があった方が良いらしく、博士の資格所得を目指しています。

ちなみにチベットで人気の職業は政治関係の仕事と宗教家、医者だそうです。

エンジニアはチベットの人たちにとって馴染みがないこともあって、あまり人気がない職業です。エンジニアの自分としてはちょっと残念でした(笑)。

家族は父、母、兄1人、姉2人、弟1人、妹2人の家族。「俺はミドルだ」、と言ってました。

ただ、今はおじさんと2人暮らし。Tenzin君の家族はチベットにいます。
Tenzin君だけが12歳の時におじさんを頼ってチベットからインドへ亡命してきたそうです。

その時の様子を話してくれました。
「エージェントを使って亡命してきた。最初は同じような亡命者がたくさんいたけど、途中で何人か見つかって結局残ったのは半分くらいだけだった。追っ手に見つかり、銃撃されたりもした。1人は撃たれて死んでしまった。小さい子達はほぼ追っ手に捕まり、チベットに返されてしまった。俺は運がよかった。一緒に亡命しようとした年上のいとこがいて俺を助けてくれた。ただ、そのいとこは結局捕まってチベットへ戻されてしまって、今は連絡がつかないんだ。」

今は家族と連絡とれてるのか、聞いてみたところ、
「たまには連絡が取れていて、電話で話したりする。ただ情報は管理されているので、話せないこともいっぱいある。」
「兄は自分と同じようにインドに亡命しようしたが、失敗して捕まってしまった。今は、政府の管理下に置かれているので、連絡が取れない」と言ってました。

おじさんも家族はチベットにいるので、インドではおじさんとTenzin君の2人暮らしです。おじさんはインドに亡命後、デリーで自分で商売を始めて、様々な雑貨をMajnu ka Tillaで販売しています。Tenzin君もおじさんの商売を手伝っています。

Tenzin君のおじさんのショップ。夕方はこの店を手伝っています。

こんな経験もあり、Tenzin君は政治の指導者になりたいと思っています。不平等をなくし、事実に基づいた政治をしていきたいという想いがあります。「事実に基づいた政治が大事」と言ってました。

普通に話してるだけでは、こんな大変な経験をもっているとはわからない、かっこよくて、明るい学生だったので、話を聞いたときはかなりびっくりして、言葉も出せなかったです。でもたくまし生きているんだなと感じました。

当たり前ですけど、、、政治って大事だと思います。特に発展途上国では貧しい人が多くて、生活が余裕ないので、政治によるちょっとした変化で、人々の生活が振り回されやすいと思います。
こんな経験と想いを持っているTenzin君なら、良い政治を作ってくれると思いました。政治をもっと学んで、良い指導者になっていって欲しいなと感じます。