Vol.54 (6日目)【ネルーさんの話】


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2013年11月21日(木) 【ネルーさんの話】

前回からのつづきです…

バルーンアートと折り紙教室を終えて、ネルーさんから今のスラムの状況を伺う。

ネルーさんは、ベルギー政府から支援を受けて活動をしているNGOの方。

現地でスラムの子供たちを、実際に支援し続けているネルーさんの具体的な話は、とても参考になるものばかりだった。

今現在、ここのスラムには3000世帯約20000人弱が住んでいて、ネルーさんは600人程の子供を受け持っているという。

ここには6つの学校があり、そのうちの2つをネルーさんが担当している。

600人のうち82人はベルギー政府の支援を受けており、私立の学校に通うことができている。

政府からの支援を受けられる子供たちは、大学に進学できる可能性が開かれると同時に、スラムでの生活を抜け出せる可能性も秘めている。

大学に進学するとこによって、スラムで生活せざるを得ない子供たちは、強いられた世襲から抜け出すことができる。

それはまさに、夢の世界へのプラチナチケットを手にすることなのだ。

また私立の学校に通うことのできない子供たちは、公立の学校へ通う道を目指して日々勉強に取り組んでいる。

公立の学費はタダであり、ネルーさんはこの10年間で、60人の子供たちを公立高校まで行ける道に導いてきた。

中には退学してしまう子供もいるが、公立の高校まで卒業できれば、インドではそこそこの仕事に就くことができるらしい。

ただ、スラムから公立の学校に行くのにも、政府はそれなりの人間にしか入学許可を与えてはくれない。

政府が求めているのは、子供の学力はもちろんのこと、集団の中でもうまくやっていくコミュニケーション能力などの人間力も問われてくるのだ。

スラムで学んでいる子供たちの中には、戸籍すらない子供もいる。

公立の学校に通うためには、そうした子供たちに対しても政府が許可を与えるという手続きが、現実問題の大きな壁として存在している。

ネルーさんの話は悲しくなることばかりだけではなく、今回嬉しいニュースもあった。

前回石川さんがここで出会った女の子の一人は、当時ネルーさんのところで学んでいたが、今は公立の学校に通っているらしい。

これからも一人でも多く、スラムを抜け出せる可能性のある道を掴み取って欲しい。

ネルーさんは今、スラムの外に土地を買い、そこに寮付きの学校を建てることで、住み込みで子供たちに人間教育ができるよう、日々の活動をしているところだと語ってくれた。

スラムの子供たちが公立の学校でもついていけるように、そこで必要な学力と集団の中でトラブルを起こすことなく過ごしていくためのマナーを教えるためだ。

それが実現すれば、もっと多くの子供たちが未来への扉を開けることにつながっていくだろう。

『子供たちへの教育は、世界を変える』

私たちのスラムプロジェクトも現実化させるために、少しずつでも前に進んで行かねばならない。

現在レインボーチルドレンでは、土地を購入するために必要な資金調査を行い、このスラム街に『Rainbow Children School(仮称)』を建設する構想を進めている。

強いられた世襲の世界から抜け出す可能性を秘めた子供たち。
これからも自分ができる事を、できる範囲で、手を差し伸べていこうと思っています。

★スラムの現状
「スラムの子供たちは道で働いたら家にお金を持ってくるけど、でも親がお金取っちゃって、自分のお酒とか自分の食べ物とか、欲しいものを買うから、だから子供たちも学校へ行かないし、もし学校へ行ったら親が怒る。何で学校行きたいの!?って」
(DVD『呼ばれて行く国インド』スラム街のボランティアガイド、サージャンの言葉より)

つづく…。

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