2014秋☆スタディツアーvol.5(3日目)チベット寺院へ散歩


 

荷物をホテルに置いて、まだ朝7時。

午前中はノルブリンカに行く予定ですが、まだ早いので朝のダラムサラをチベット寺院まで散歩することにしました。チベット寺院はダライ・ラマ法王の公邸敷地に隣接する広大なチベット仏教のお寺です。早朝からたくさんの参拝者で賑わい、ツーリストにとっては観光スポットにもなっています。

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つい先日(10/2)ダラムサラで、ノーベル平和賞受賞者会議が開かれたからでしょうか。通りにはインドの父マハトマ・ガンディーとダライ・ラマ法王の写真が入った横断幕がいくつも見えました。

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そして、牛も朝の散歩でしょうか(笑)

朝方は牛がごみ置き場で朝ごはんを食べている光景をよく見かけます。

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そして通りの両側には、早くから露店の準備をするお母さんたちが頑張っています。

昼前にはたくさんの露店が立ち並び、外国人観光客で賑わいます。

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チベタンアクセサリーの他、ヤクの毛を使った編製品も人気です。

レインボーチルドレンがチャリティで販売しているアイテムも、こんな露店で仕入れをしています。
(直営店BASEショップ)http://rainbowchild.thebase.in/
* 販売純利益のすべてをチベットの子どもたちの大学進学のための奨学金に充当しています。

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中心部から寺院まで歩いて10分ほど。右手に標高1900㍍から平地を見下ろす絶景を眺めながら、舗装されていない凸凹道をのんびり歩くともう到着です。

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チベット寺院の入り口。

ここにも横断幕が飾られていますね。

3年前と違い寺院内部はセキュリティが厳しく、携帯やデジカメ、ライターなどは持ち込めないようになっています。写真を写すことができるのは、入り口から50㍍ほどまでです。中では五体投地で祈りを捧げる人、朝の儀式を務める僧侶たち、外周に配置されたおびただしいマニ車を回しながら周回する参拝者であふれています。そしてチベット仏教の仏像など素晴らしい仏教芸術も見ることができます。

 

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そして、このポスターの前でメンバーに説明をしました。

毎回新しくなるこのポスターの意味、なぜこのようなことが起きているのかを。

このポスターには中国による弾圧に対し、2009年以降に焼身抗議をおこなって命を落とした100名以上のチベット人の写真が載せられています。9月にまた135名目となる若者が焼身抗議で命を落としました。半年ごとに訪れる度に新たなポスターとなり、この焼身抗議は今も続いているのです。

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真剣に見つめるメンバーたち。

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これまで中国により虐殺されたチベット人は120万人とも300万人とも言われています。
(チベットの総人口は600万人とされています)

1959年のダライ・ラマ法王亡命後も中国による同化政策は年々圧力を増し、土地を奪われ、政治的自治を奪われた上に、民族文化と宗教を破壊され(宗教施設は90%以上が破壊)、経済も収奪されています。中国領土内のチベット本土の学校ではチベット語の授業はされず、(中国の)愛国教育がなされています。もちろんダライ・ラマ法王の肖像を掲げることは禁止され、違反者は連行されて厳しい処罰や拷問が課せられます。場合によっては二度と帰ってこないこともあるとのこと。

声をあげると力によって弾圧され、情報統制によって事実が世界に知らされない現実への、唯一の平和的抵抗が「声なき声を叫ぶ」焼身抗議なのです。この現実を世界に知って欲しい思いで。その多くは若者です。

言論の自由、宗教の自由、集会の自由が許される日本にいると、焼身抗議の意味が分かりづらいかもしれません。他に方法はないのかと。そして、自殺大国である日本とは違い、自分ではない他のものを守るために自分の生命を賭して焼身抗議という行動に出ることが理解し難いかもしれません。

でも、今のチベット人に答えはありません。これが現実なのです。我々はチベットで起きている現実をもっと知る必要があります。世界にもっと知ってもらう必要があります。新疆ウイグルで起きている弾圧も、9月に香港で始まり今も続いている雨傘革命も、台湾で起きようとしている胎動も、特に我々日本人にとっては遠い国で起きていることではありません。

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土地をなくし、宗教や文化が消滅させられ、言葉さえも失うとしたら、その文明はどうなると思いますか?

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現在、難民社会の中心ダラムサラと、インド国内・ネパール・ブータンにまで広がるチベット人学校は100校を超え、高度な教育を受けることができます。もちろんチベット語による授業も行われています。しかし、せっかくの高度な教育も高校まで、その先の道は閉ざされてしまいます。まともな仕事に就けないチベット難民社会では子どもを大学へ送り出せる家庭は皆無です。(翌日の教育省とのミーティング内容は後日報告します)

そう遠くない、高度な自治が取り戻せた時、国を支えていく人材が必要です。チベット語を習得し、チベット独自の伝統的文化や宗教のもとに育った未来のリーダーを育むために2012年、「Rainbow Children Scholarship」の奨学金支援を始めました。現在、各チベット人学校をトップクラスで卒業した30名の秀才たちがインドの大学で学んでいます。(奨学生とのミーティング内容も後日報告します)

チベット問題を知り、独りでダラムサラを訪れ、個人で奨学金支援を始めた僕が、今のチベットにできる答えはこのことでした。

教育は未来へのパスポート。

教育は世界を変える!

 

さて、ツアー参加のメンバーはどう感じたのでしょうか?

今日一番刺激を受けた出来事でした。
正直、書いたり、言葉に表したりできません。
ひとつ言えるのは、これを見聞した時に自分の中の何かが動き、変わったということです。

チベット寺院に行って、初めて焼身自殺のことを知り、言葉が出なくなりました。
こんなに多くの人が、命を落として世界に向けてアピールしていることに驚きを隠せませんでした。武力を使わないからといって尊い命がなくなっていく、こんな残酷なことはありません。
もっと詳しく、チベットや中国との関係、また、自分たちにできることはないのか、考えたいです。

つづく。

もう少し詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。
一年前に北條副代表がこのポスターを見て衝撃を受け、ブログにまとめたものです。(閲覧注意)

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