いつかは行きたいなぁ…なんて夢のように思っていた場所、インド。


 

第7回スタディツアー2015年春 感想文

立命館アジア太平洋大学(APU)田村友佳

 

いつかは行きたいなぁ…なんて夢のように思っていた場所、インド。大学で知り合った愉快なインド人の友人たちに魅せられ、また母親からレインボーチルドレンの活動を聞いていて興味があったこともあり、行くなら今しかない!そんな勢いで参加した。

このスタディツアーを振り返ると、私のなかに影響を残した3つの軸がある。ホーリー、スラムでの子供たちとの時間、そしてダラムサラでのUprising Festivalだ。この3つの出来事が私に大きな影響を与えたインドでの日々を語る際に欠かせない要素である。

 

ずっと楽しみにしていた初日のホーリー祭りでの、インド人を嫌いになりかけた貴重な経験。決して忘れない。熱気に満ちて、泥臭くて賑やかで、押し押されて通ったクレイジーで色鮮やかな道から、明るくて陽気ででもそれだけでは語れないインド人の国民性の一部が見えた気がした。ホーリーだけはまだ言葉に上手く表せない。この溢れんばかりの経験を伝えたくても、ホーリーに飛び込むこと以外、同じ思いを共有することは不可能だと思うからだ。あの経験は私にとって何だったのだろうか(笑)。

 

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二日に渡って訪れたスラムでの豊かな時間も忘れられない。曲がりくねった狭い小道を進んで辿りつく学校。この小さな小さな学校にたくさんの子どもたちが学んでいる。「日本人のお客さんがきた!」とぱぁーっと輝く子どもたちと鳴りやまないドラムに合わせてはじける子どもたち。恥ずかしがってはいられない。言葉は通じなくても、ビートに乗って汗を流して、心通わせた瞬間だった。ドラムが一つあればこうやって踊りだせる子どもたち。その時間を心から楽しんで踊る彼らを見ていて、彼らが彼ららしくいれるこの場を守って、持続させていかなければいけないと思った。

 

この旅で最も印象的だったのは、ダラムサラを訪れた3月10日のUprising Festivalだ。思いがけない経験だった。人々の〝We want freedom” という声が今でも耳に残っている。チベットの焼身自殺のことは、高校生の頃からメディアを通してよく目にしていた。なんでこんなことをしないといけない現実があるんやろう?と思いながらも、見過ごしていた問題だった。今回の旅でチベット問題は一気に身近なものになったと思う。焼身自殺された人々の顔写真を見たとき、声をあげて行進する人々の真剣な眼差しを全身で受けたとき、足が震えた。何とも言えないもどかしさと悔しさ、なんでなん?という憤りにも似た想いが何度も交差する。チベットの文化や信仰、そしてチベット人であるというアイデンティティ、それらが破壊されている現状を目の当たりにして、もうこれ以上は見過ごせない、そう思った。チベットはチベットだと声を大きく言える日は来るのだろうか。私にとって、新たなる考えるべき課題となったが、チベット問題に取り組むには裏にある大きな力があまりにも強く立ちはだかっている。それを思うと私に何ができるのか…と無力感でいっぱいになる。私はこの世界において、小さな存在でしかないけれど、まず一つひとつ知ることから始めたい。チベット問題に関しては、大学にいる間にしっかり勉強したいと考えている。チベット難民の学生が自立してこの問題を解決していけるような支援をしているレインボーチルドレンの活動が如何に意味のあるものか実感したと同時に、出会った学生たちの豊かな未来を祈ってやまない。同学年である私も彼らに負けずに、この世界に立ち向かっていきたいと奮い立たされた。

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ホーリーのクレイジーさもあれば、深く静かな思想や多様性を受け入れる大きな懐もある。どこへ行っても惹きつけられるインド。不思議なのはふっと振り返れば、この旅の中で出会った人々の姿と過ごした時間が今でも鮮明に思い浮かぶこと。少ししか話していなくても、ナマステと挨拶を交わしただけでも彼らはぐっと私の心のなかに入ってきて離さない。インドは一度行くとハマってしまうか、もう二度と行かないかの二択に分かれるとよく聞くが、インドに滞在中、私は一度でもう十分かなぁと感じていた。しかし、日本に帰ってきた今、インドを想う自分がいる。私を娘だと迎えてくれて、いつでも帰ってきなさいと待っていてくれるインドの家族、「お母さん!」と呼んでくるスラムの子どもたち、次はカシミールに行きなさいとやたらめったら推してくるダラムサラのおじさん達…。また会いたい。美味しいチャイとともに話をしたい。そう思える人たちがたくさんいる。

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最後に、代表の石川さん、北条さん、そして一緒に旅をしてくださった愉快なメンバーに心から感謝します。