チベット亡命政府、教育省の訪問。
ダラムシャーラ訪問中の6月10日、チベット亡命政府の教育省をインターンのあおいさん共に訪問させてもらいました。
教育省の訪問、、日本で言うなら文部科学省を訪問させてもらう様なもの。。普通ならありえない。。こんな機会があるなんて、、、正直めっちゃ感謝です!!
まずはレインボーチルドレンともっとも関わりが強い奨学金部門へ行きました。
Section Head のSonamさん(薄い青の服の方)を訪問し、話を聞かせて頂きました。
ここが奨学金の管理をしています。
奨学金の支援はレインボーチルドレン等のNGOや個人からとアメリカとカナダの支援があるとのこと。
ニードベースという親の居ない人、片親の人など学校に行くことが難しい状況に居る人を優先して奨学金を支給するやり方をとっています(反対がメリットベース)。
奨学生が奨学金を継続して受け取るには一定以上の授業の出席率と成績をクリアしないといけないそうです。そして学生達の成績をまとめ、毎年ステイクホルダーへ提出しています。この成績レポート提出がステイクホルダーから資金を受け取る条件にもなっています。
今現在、1000人程度の奨学生がいるそうです。女性の割合が多く、真面目なのも女性が多いそうです。たしかに、自分のこの1年色々会ってきたレインボーチルドレン奨学生も女性の方が真面目な人が多かったと感じました!!
ちなみにチベット社会におけるジェンダーバランスは均等だそうです。うちらが訪問した教育省もほぼ女性でした。大臣も女性でした。これはすごいと思いました。インドではまず見ないし、アジア、アフリカの政府機関の人達も男性が半数以上だったので、このチベットのジェンダーバランスの進み具合はすごいと思いました。。
現状の奨学金制度の課題は資金だそうです。資金源はドナーからで、チベット学生が大学を卒業するためには最低3年継続して支援が必要なので、この支援を継続してもらう事が最大の課題とのことです。
確かに、亡命政府だと、税金とかないかも、、あってもそんな多額な資金は集められないだろうな、、と思いました。あらためてレインボーチルドレンの活動が奨学生にとって、非常に大事だと感じました。
その後、奨学金部門スタッフのSangayさん(赤い服の人)が忙しい中、教育省を一通り案内してくれました!!!
教科書作成部門、Counseling部門、Academic部門と案内してもらいました。
そして、、、なんと!!!教育大臣(下の写真の方)にも、面会させて頂きました!!! なんかもうめっちゃびっくりしました。
大臣は元の学校の先生で、大学でマネジメント等も経験してから、亡命政府に入り大臣になったそうです。とても良い感じのひとでした。
大臣から教育省の今のビジョンについて、話を聞かせてもらいました。2つありました。
1つは、海外に散ったチベット人へチベット語・文化の教育機会の確保すること
海外に居る人達は学校やコミュニティ内でチベット文化を教わる機会がないです。なので、彼らはチベット文化を忘れていってしまう。だから、土日などにチベット語の授業をする。コミッティー(集会)を作って、チベット文化に触れる機会を作る。チベット人の集まるコンファレンスやワークショップをオンラインで実施して、世界中のチベット人とつなげる。といった事を計画しているそうです。
2つは、インド・ネパールにあるチベット人学校で新しい教育ポリシーを実践すること
そのポリシーは現代の教育(西洋、インドの教育)と伝統的な教育(チベット古来の教育)の融合です。ポリシーは作成済みであり、その実践を今勧めているそうです。
そのポリシーは
・教育は知識だけを得るのではなく、よき人になるためのものという考え。
・Secure ethnics⇒おもいやりや、話し合いを重要視する考え方。(この言葉はマクロードガンジの中でも見ました)
・まずはチベット語しっかり教える。英語はClass4(9、10歳)から教える。
・チベット仏教の考え方を指導する
といったのがあるそうです。
教育大臣から、こんな話しを聞けるなんて感動でした。忙しい中、我々ボランティアに時間をとってくれるなんてすごい、器のでかい人なんだなと思いました。感謝でした。
ダラムシャーラ訪問で感じたことは、-ダラムシャーラの人はチベットの文化を守ることと知ってもらうことを大切に考えている、と感じました。マクロードガンジで会った元レインボーチルドレン奨学生も、サラ大学に滞在していた学生も、自分達のチベット文化を大事なことと考え、チベットの言葉や歴史を学び、それを後世に伝えることを考えていました。他にもチベット文化に関する本を出版し、チベット文化をアピールしてました。
そして、ここ教育省の方々も自分達のチベット文化を守るような教育を進めているなと思いました。
チベットの人達は自分達の国がなく、自分達の言葉、文化、歴史を学ぶ機会も限られてる状況です。なので、チベットの人々は自分達の社会の存続の危機を感じていて、それを守っていく事、広めていく事が重要で、切実な課題だと感じている、と感じました。日本に住んでいて、人口が1億以上いて、しっかり国が存在している僕らからはちょっと想像できない状況なんだと感じました。
インドやアフリカで非衛生でインフラの整っていない中で生活し、教育や医療を十分に受けられない人々が居る国。独裁政権の中でまともに情報が得られず、発言もできない中、生活が苦しく、家族を助けるために国外に脱出して、国外から家族を支えている人々が居る国。
など色々な人、国と会って来ましたが、チベットの人達もまた違った困難にぶち当たっている人々だと感じました。
チベットの人達にとってまず大事なことは、チベット人達がこの世界にいることと、この状況を世界の人に知ってもらうことと思います。
僕にもチベットの人達の状況を広めていくことはできます。これからもここインドからチベットの方々のこと、伝えて行きたいと思います。