東チベットに位置するラルンガルゴンパ(喇荣五明佛学院)は、世界で最も大きな仏教僧院群と言われています。
1980年代に、一人の高僧ケンポ・ジグメ・プンツォクがお寺を建設しました。仏教学と瞑想のためにラルンガルゴンパを建てた師の元に多くの僧尼が集まり、次第に巨大な僧院となっていったのが、ラルンガルゴンパの始まりです。
ケンポ・ジグメ・プンツォク逝去後も、1万人を超える僧尼が暮らしています。
東チベットを旅する旅行者のほとんどは、このラルンガルゴンパを目指して旅をしていると言っても過言ではありません。ですが、中国政府によって度々規制がかかり、今年は6月からラルンガルゴンパへの外国人及び外国メディアの立ち入りは全面的に禁止されています。
中国政府は、ラルンガルゴンパにいる1万人の僧尼の数を半数の5千人にすると発表しました。さらに、5千人分の居住空間を残して、その他の住居は取り壊されることも決まっています。
これらが外国人締め出しの理由になっています。
(International Campaign for Tibetより)
今年9月にはチベット自治区ラサ地方から来ていた僧尼の退去が余儀なくされました。悲しみにくれる尼僧のビデオが届いています。
今後さらにラルンガルゴンパを追われる僧尼の数は増える一方だと予測されます。
ラルンガルゴンパのみを故郷としてきた数千人の僧侶、尼僧たちが、新たな場所で仏道を実践していくことは大変困難です。
2000年代初めに取り壊された際に、ラルンガルゴンパを後にした僧侶たちが、成都などで物乞いしている姿も報告されています。中国政府がチベット全土の多くの僧院を操作しているため、新しく僧院に入ることができないことが問題となっています。
中国政府によって破壊された寺院は復興の一途をたどり、信仰の自由を取り戻しているという情報もありますが、果たしてそれは真実なのでしょうか。
ラルンガルゴンパの現実もさることがなら、他地域の寺院でも「ダライ・ラマ」という言葉を発することさえできない僧侶に何人も会いました。
私が東チベットを旅行していた8月も、ラルンガルゴンパへ外国人が入ることは禁止されていました。東チベットを旅行する目的の一つでもあったラルンガルゴンパに行くことは絶望的と思われたのですが、先に入っていた旅行者の情報があったこともあり、運良く入ることができました!
丘から見下ろすと目の前に広がる圧倒的な僧院の数。
一見、何事もないかのように見えますが、手前の一角で取り壊しが始まっていることが確認できます。
今日現在、国連人権委員会やStudent For a Free Tibetなどのチベットをサポートする団体を始め、ラルンガルゴンパを守るための活動が盛んになってきています。
一人でも多くの方に、チベットで起きていること、ラルンガルゴンパで起きている現実を知っていただければ大変嬉しく思います。
ラルンガルゴンパの存続、信仰の自由が守られることを祈りつつ、建設的な議論の場が持たれることを心から願っています。
ラルンガルゴンパ、チベット人の信仰の自由を守るための署名もよろしくお願いいたします!
change.org stand-with-larung-gar-now