Be The Change Project 2018感想(なかしー)


 

京都大学法学部4年 中嶋一揮

今回のBethechangeプロジェクトで学んだことを記したいと思います。
2週間インドで過ごしたこと、そこで得た様々な経験は本当に新鮮で、書きたいことがたくさんあるのですが、ここでは大きく2つに絞って述べたいと思います。

①チベット仏教の精神性について

恥ずかしながらこれまで仏教について深く学んだことが無く、今回のスタツアでリンポチェのteachingやダライ・ラマ法王と世界中の科学者によるMind&Lifeに参加させて頂き、初めてチベット仏教について考える機会がありました。チベット仏教はインドから直接伝わった仏教であるため、日本社会に行き届いている仏教的価値観とは大きく異なることが多く、自分にとって納得感のある教え、なかなか心の中で上手く咀嚼できない教えが混在しているという印象を受けました。
リンポチェが仰っていたのは「日本人は日々急ぎすぎており、内省の時間が無く、心の平穏が無い。物質的な喜びを求めすぎているため心が満たされることが少ない」という趣旨のものでした。本当にそうだと感じていて、私たち日本人は資本主義的価値観に知らず知らずのうちに内包され、真の喜びを得にくくなっています。
皆真の喜びを得て生きたいし、仏教の教えを信じると「心の平穏が得られる。苦しみから逃れられる」と言います。もし本当にそうなら、信じて生きたいものです。
しかしそのために、煩悩から解放されるための修行を行うということについて、確かにそうすべきだけど、そのステップに障壁が大きいと思いました。まず最初に思ったのが、仮に人間100年生きるとして、煩悩を滅するのに80年かかるとしたらその人生は幸せなのか?ということでした。しかし仏教の考えからするとこれは完全に間違いです。仏教の教えでは、人は「輪廻転生」するので、現世で煩悩を滅し善く生きれば、人は再び生まれ変わり、来世で自身の心に平穏が訪れます。これは非常に不思議な感覚です。日本人からすれば違和感があります。もし生まれ変わると信じていればお墓は作らないし葬式もするか分かりません。
一方、無下に輪廻転生を否定することもできません。論理的に正しいとも言えないし、論理的に否定することもできません。
ただ、輪廻転生の考えに立てば、幸せを長いスパンで捉えることになるので、先程私が持った疑問は解消されるので、現世で修行を続けることには納得感がありました。輪廻転生についてはもっと勉強したいし、仏教を知るヒントが隠されていると思いました。
以上、個人の人生に紐づけて仏教について考えてみましたが、もっと社会に、世界における仏教の必要性についても深掘らなければならないなと感じました。

②スラムで感じた「小さな経済圏で生きる」ことについて

デリーでスラム街を案内して頂きました。そこで学んでいる子供達からも感じたことが多かったのですが、スラムで成立していた一つの社会のようなものに大きく興味を持ちました。訪れたスラムの一つにはかなり多くの人が住んでいて(失念したのですがおそらく1万人以上)そこでは食品も日用品も売っており、散髪屋も電気屋もありました。豊かさこそ無いですが、そこには確かに一つの社会、経済圏が成立しており、住民達は生きていくことができています。(病気・公衆衛生・犯罪・公害など問題は山積みではありますが)
ここの人々は、先進国における物質的豊かさ・成長・成功などの資本主義に規定された価値観で生きている人よりも幸せと感じているかもしれない、とまで思いました。(先程の仏教的価値観とも繋がってますね)
だから日本人もそう生きるべきだとは思いませんが、今後少子高齢化で人口が減少し、高度成長期のように物質的豊かさだけを求めているだけで幸せになれる時代は終わっている中で、一人一人が幸せだと感じられる社会の設計が重要で、具体的には「東京に行く」とか「タワーマンションに住む」とかが幸せだというのでは無い社会の方が皆生きやすくなるだろうと考えるようになりました。
そのように個々の価値観が変容した社会であれば、その中で「小さな経済圏」が地方であれ都会であれ、コミュニティ内でいくつも設計され、今よりも幸せに生きる人々を増やせるのでは無いでしょうか。

以上感じたことについて記しました。この他にも、チベット人学生とのダラムサラでのワークショップでたくさんの気づきがあったことや、ダラムサラのタクシーで携帯を紛失し、なんと返ってきたこと、デリーで食中毒に感染し、半年間作ってきたワークショップの本番に参加できなかったこと波乱万丈ありましたが、自己内省を怠らず行うと共に、これも良い経験と捉え、人生に活かしていきたいです。

最後にこのような経験をさせて頂いた、石川さんを始めとしたレインボーチルドレンの皆さん、一緒にツアーで共に過ごした個性豊かみんなに感謝を述べたいと思います。
本当にありがとうございました。
今回のツアーはクラウドファンディングで支援して下さった方々やレイチルの皆さんのお陰で参加出来たのであって、これらの投資を将来的に参加者が何かしらの形で社会に還元しなければならないと考えています。
ここで得た学びを忘れず、次のステージに向かって頑張って行きます!