Be The Change Project 2018感想(すみと)


 

宮畑 澄人

 呼ばれていく国インドと言われていますが、僕も例に漏れず、気づけばインドの地に降り立っていました。インドについて、特にいいイメージを持っていたわけではありませんが、飛田さんに「インド行く?」と聞かれ、二つ返事で「行きますわ」の言葉が出て来ました。今思えば、いつも優柔不断な僕としては、不思議な瞬間でした。
そして、実際に行ってみれば、心の底から本当に行ってよかったと思えることばかりでした。その中でも特に印象的だった、サラ大学ワークショップとスラムをピックアップして書きます。

ーーサラ大学ワークショップ

今回、学生でもなければ、英語も話せない僕は傍観者として離れて見ていようと思っていましたが、これも何かの運命か、僕もある1チームに参加することになりました。そこには参加して見ないと分からないことが詰まっていました。
まず、僕のチベタンへの勘違い(悪い言い方をすると差別心)が浮き彫りになりました。チベタンはどうしても入ってくる世界の情報が制限されていてあまり知識がなく、議論の幅が狭いのではないかと思っていました。しかし、実際に話してみれば、バックグラウンドの知識量も非常に多く、それを表現する能力、独創的な発想力、それを表現する言語能力(人によっては、チベット語、英語、中国語、ヒンドゥー語を話せるというのにもビックリ)を併せ持っていて感心を通り越して、気づけば僕は肩身が狭くなっていました。(笑)


考えてみれば、ここにいる奨学生達は命からがら亡命して、家族とも離れ離れになって、その中で強く学びたいという気持ちを持って大学に通っているのだから、必死に情報も仕入れるだろうし、アウトプットする力も鍛えているだろうと納得できます。また、これが石川代表から聞いていた、チベットの教育のレベルの高さなのだと体感しました。
あとは、命の考え方の違いにも驚きました。チベタンは人生50年が基準であり、明日もあるとは限らないと考えているようです。明日や未来があるのが当たり前と思える日本人は恵まれているという考え方もできますが、裏を返せばだからこそ「今」に全力を尽くせない原因でもあるのだと感じました。

ーースラム

スラムは僕がインドで一番楽しみにしていて、実際に一番印象に残った場所でした。僕は、明確にスラムで何かをしたい・知りたいと思っていた訳ではなく、折花を子供達にあげて、喜んでもらいたいという漠然とした思いでした。スラムの方や子供達と会うまで、僕の中にスラムの人たちは「恵まれていない人」というイメージがありました。なので、少しでも笑顔になってくれればという思いでした。しかし、会ってみれば子供達の元気さと曇りのない瞳と笑顔に圧倒されてしまいました。僕が折花をあげると想像以上にみんな喜んでくれて、「ほしい!ほしい!」とそこら中から手が伸びてきました。集合写真を撮るときも、子供達は折花を掲げていてくれて本当に嬉しかったです。僕があげたはずなのに、言葉で言い表せられない何かをもらったような気分でした。


僕は、あの笑顔と喜びようを見た後、対極に日本人の顔を思い浮かべました。もっと物が豊かにあって、エキサイティングな遊び道具や遊び場を持っている国民なのにあんな顔をしているのかと。スラムの子供達は生と死の狭間で毎日暮らしているのに、キラキラした目をしていて、毎日安全に暮らせている日本の子供達は暗い顔をしている。その様子を目の当たりした瞬間、僕は何が幸せなのか分からなくなりました。これを書いている現在でもモヤモヤしています。インドで特大の人生のテーマをぶつけられた思いです。インドに行くまでにも、このようなテーマで考えたこともありましたが、現実に目にした後では、このテーマの重みは比べられないものになりました。インドという地で、今後ずっと意識すべき宿題を頂きました。

 

ーーまとめ

インドでは、毎日刺激的で、貴重な体験をさせていただきました。ダライ・ラマ法王とお会いして写真を撮れたり、チベット奨学生と交流できたり、チベット医学を知れたり、センゲ首相やリンポチェから直接お話を聞けたり、ノルブリンカでチベットの伝統工芸品やそれが伝承されていく様を見たり、デリーではスラムへ行ったりと、普通の旅行やバックパッカーでは体験できないことばかりでした。偏に、石川代表をはじめ、レインボーチルドレンの方々が積み重ねて来られたものなのだと感じました。このような貴重な体験をさせて頂き、心より感謝しております。本当にありがとうございました。
あと、インド人の国民性を表すような、ダラムサラのインド人タクシー運転手が連呼していた、「No problem. It’s India!」が印象的でした。日本で多少困ったことがあってもこの言葉を思い出そうと思います。「インドに行って価値観変わった!」とあまりベタなことは言いたくなかったのですが、今回の体験は間違いなく今後の人生に影響してくるだろうと思います。