社会的背景と問題意識

社会的背景

「カースト制度」

カーストとは、ヒンドゥー教における身分制度(ヴァルナ)です。
紀元前13世紀頃に、アーリア人のインド支配に伴い身分制度カーストの枠組みがつくられ、その後4つの身分に大きく分けられるヴァルナとし定着しました。基本的にはカースト間の移動は認められておらず、カーストは親から子へと受け継がれ、結婚も同じカースト内で行われます。
インドでは1950年に制定されたインド憲法で全面禁止が明記され、また最下層の民を「神の子(ハリジャン)」と呼び制度改善に取り組んだものの、現在でも身分制度はヒンドゥー社会に深く根付いています

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「スラム街」

スラムは、都市部で極貧層が居住する過密化した地区のことであり、都市の他の地区が受けられる公共サービスが受けられないなど荒廃状態にある状況を指します。世界中のほとんどの大都市にスラムがあるとされています。
インドのスラムに住む住民の数は増加傾向にあり、上記ヴァルナに属さないアチュート(不可触賤民アンタッチャブル)と呼ばれる人々も含めて、約1億人もがスラムで暮らしているとされています。その成り立ちは様々ですが、代表的な「出稼ぎスラム」「ごみ山スラム」、そしてムンバイのような100万人近い都市として機能しているスラムまで様々なスラムが存在します。

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問題意識

カースト制度が廃止された後も世襲され、生きている間はスラムからなかなか抜け出せないというインドの暗部。(ヒンズーではよい行いをすると来世では上のカーストに生まれ変わるという思想があります)

職業選択の自由

そして、職業カーストと呼ばれその仕事は世襲されることが実情です。事実グジャラティスクールがあるシャディプール駅近辺のスラム(デリー最大規模で人口はなんと2万人)は5つの地域から集まって形成されたスラムですが、ラジャスタン地方からはダンスや太鼓が得意でそれを職業にする人々、ビーハーからはリキシャ運転手や髭剃りが職業の人々、ハイデラバードからは物乞いや路上商売をする人々、マハラシスターからは主に家政婦を、ラックナウからはごみ拾いと、みな就ける職業は決まっています。

また、スラムは高い失業率と貧困、ストリートチルドレン、犯罪や麻薬の温床、アルコール依存症、非衛生的な環境からの伝染病、人身売買に児童買春と、挙げるとキリがなく問題だらけ。

それでも、子どもたちには生まれたときから当たり前の環境。
訪れると、輝く瞳と屈託のない笑顔に魅了されます。
どうしてなんだろう?

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「今この瞬間を生きる」

それは人間に与えられた課題だと考えています。
スラムという所有する苦しみやエゴのない世界には、心の平和がありました。
子どもたちはまさに「神の子(ハリジャン)」でした。
「今」を生きる神の子どもたち。
物質的には世界トップクラスの豊かさを誇る我々日本。
まさに今、日本がスラムの子どもたちから学ぶべきことが多い気がします。

「ここに学校を作ろう!」

二回目に訪れた時、世襲スパイラルから抜け出せる方法があることに気付かされます。

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レインボースクールスラムの子どもたちを支える橙