【Be the change project-学生たちは今-】④〜白井莉奈子(しらたん)〜

 

Be the change project に参加させて頂いた白井莉奈子です。
あれから3年が経ち、当時大学1年生だった私もとうとう卒業を迎え、春からは社会人になります。

正直なところ、このプロジェクトは私にとってあまり思い出したくない記憶となっていました。

しかしふと思い返してみると、このプロジェクトに参加したからこそ気づけたこと、考え直せたことがたくさんあったように思います。

というのも参加前まで私は、国際協力や途上国支援に関心がありました。

しかしプロジェクトを進めるうちに、私は国際協力に携わることは向いていないんじゃないかと思うようになりました。
なぜなら、「チベット難民の人たちが外国人と交流する場をつくる」というプロジェクトの目的があったにも関わらず、
私は目の前にいるチームメンバーと協力しようという姿勢が乏しく、自分の思い通りにいかなければ不満に感じ、
「もうどうでもいいや、インドなんて行きたくない」とか、
「なんで私、こんなことやっているんだろう」と思い、当初の目的を蔑ろにしていたからです。

そこで気づいたことは、私は国際協力や途上国支援を心の底からしたかったのではなく、「かわいそうな人を救ってあげたいと、考える心優しい人」になりたかったんだなということです。とても上から目線で、自己中心的な考え方でした。

しかしそんな私がインドで、ダラムサラの街を歩いて、食べ物を食べたり、現地の人と話したり、チベットの美術や伝統舞踊を観たりして、異文化に触れることが心の底から楽しいと思えました。

心の底から喜びを感じられたことで、私の中で「チベット」や「ダラムサラ」が
「知らない」「興味ない」「どうでもいい」「かわいそう」というネガティブな印象から、
「楽しい」「面白い」「また行きたい」「素敵なところ」といったポジティブなものに変わりました。

そうした経験を通して、自分が見返りを求めずに純粋に「好きだ」「やりたい」と思うことをすることが、
結果として国際協力に繋がったり、
自分がこうあってほしいと願う社会に少しでも近づく手段になるなら、
それ以上に嬉しいことはないなと思うようになりました。

インド帰国後は、留学をしたり、夜間学校に通ったりと、自分の好きなことや、やりたいことを存分にして、充実した大学生活を送ることができました。

そして卒業後、春からはご縁があり、Be the change project でインドに渡航した際に訪問した団体で働くことになりました。

もしBe the change projectに参加していなかったら私がこのような考えになることも、そこに就職が決まることもなかったかもしれません。

改めて、クラウドファンディングで支援をしてくださった方、その他プロジェクトを見守ってくださった方、レイチルの運営メンバーには感謝申し上げます。

ありがとうございました。

もしかしたら、仕事を始めたら、「しんどい」「こんなはずじゃなかった」と思うこともあるかもしれません。
でも、そんな時はBe the change projectで感じたことを思い出して、自分の心が喜ぶ方へ向かおうと思います。

 

【Be the change project-学生たちは今-】③ 〜関家紗愛(さえ)〜

「”Be the change project”に参加させていただいた関家紗愛です。
このプロジェクトは、私に一歩踏み出すきっかけを与えてくれました。
プロジェクト参加時には、何かにつけて二の足を踏んでしまうことが多々ありました。 
プロジェクトメンバーと関わったり現地でチベットの大学生など様々な方々と関わり貴重な経験をさせていただく中で、今あるチャンスを逃さず最大限活用することの大切さを改めて感じました。
またプロジェクトは、NPOやNGOによる支援先の顔が見えた支援のあり方を知るきっかけにもなりました。


インドから帰国後は、国連フォーラム主催パプアニューギニア・スタディ・プログラムに参加しパプアニューギニア へ渡航しました。
プログラムではメンバーとの議論や現地渡航調査を通して、政治・経済・環境・教育・文化など様々な側面からパプアニューギニアが抱える課題とそれへのアプローチ方法を考えました。
またそのプロセスを通して、国際協力のあり方を再考しました。
私はこのプログラムを通して、健康はあらゆる分野に関わることを実感し、将来は国際機関で人々の健康増進に関わりたいと考えるようになりました。
将来への第一歩として、来年から東京大学大学院国際保健学専攻で人類生態学を学びます。
人類生態学とは環境と人間の相互関係から人間の健康を捉える分野で、人間集団の生物学的適応と文化的適応について研究します。


私がこの分野に出会ったきっかけは、パプアニューギニアへの渡航時に知った、低タンパク適応の研究です。パプアニューギニアには、タンパク質摂取量が不足した食生活にも関わらず、筋肉質の人が多く暮らしています。
この研究を知り、人間の適応能力に強い興味を持ったのと同時に、将来国際保健分野で活動するにあたって、適応の観点から人々の健康を考えられるようになりたいと考えました。
大学院では腸内細菌と感染症について研究しようと思っています。

実は私が感染症に興味を持ったきっかけの一つは、インド滞在最終日にメンバーが食中毒になったことです。
このようにどこで何がどう繋がるか本当にわかりません。今後も目の前のことに正面から向き合い、人との出会いやチャンスに感謝して、変化に柔軟に対応しながら成長していこうと思います。」

 
 

【Be the change project-学生たちは今-】② 〜美並立人(りゅうと)〜

「Be the change projectに参加させて頂いた美並立人(みなみりゅうと)です!

今思えば、このプロジェクトに参加したことが全ての始まりだったと感じています。
プロジェクトに参加していた当時、事前準備のプロセスや現地でのワークショップを進める中で、自分の能力の低さに嫌気が差していたのを今でも鮮明に覚えています。しかし、日本人学生のメンバーやスタッフ、インドでの様々な経験のおかげで自分に足りないものを見つめ直すことができました。

インドから帰国後、フィリピンへの留学、ブロックチェーンを扱うIT系会社での長期インターンを経て、現在、フランスに交換留学生として滞在しています。
このようなインターンシップの業務やフランスの学校でのグループワークで、チームワークの大切さや自分の意見を積極的に発言する重要性など、
Be the changeプロジェクトで学んだことが非常に役に立っています!

そして何より、もっと自分の知らない世界を知り、たくさんの人達と話してみたいと心から思えるようになったことが、プロジェクトに参加した1番のメリットだったと感じています😊

今後は、日本またはイギリスの大学院に進学するか、企業に就職するか決断できずにいますが、将来の自分のしたいこととしては、主に2つあります。
1点目は、テクノロジーを駆使して日本、または海外の不平等の解決に貢献できる人材になることです。
2点目は、インドのダラムサラに行ってもう一度モモを食べることです🍖

Be the changeプロジェクトに参加して得た出会い、インドでの経験は自分の人生の中で間違いなく忘れられないものになると感じています。

いつか、またプロジェクトに参加した日本人学生やレインボーチルドレンの皆さんとお会いできる日を楽しみに、プロアクティブに挑戦し続けていきたいと思います😊

 

【Be the change project-学生たちは今-】① 〜松本佳恋(かれん)〜

 

「Be the change projectに参加させていただいた松本佳恋です!寛大な上司・先輩方に恵まれ、気づいたら社会人になって1年8ヶ月がたっていました。

インド帰国後すぐはどんな変化を社会にもたらしたいか分からなかった私ですが、日本で働き出しその答えが見つかりました。
今の私が実現したいことは「日本をもっといろんな人たちにとって居心地のいい住みやすい国にする」です。マイノリティとして、女性として、帰国子女として、外国人として。日本が色んなバックグラウンドや個性を持った人にとって居心地がいい!と思えるような国にしたいです◎

 

その実現に少しでも近づくため、今私は化学メーカーに働きつつも企業外で自分のできることを見つけて関わらせていただいています。
ライターとして日本の現状や個性を大事に日本で活躍している人、様々な働き方などについてメディアで発信したり✏️
朝活イベントや米国大使館主催のサミットなど様々なイベントにも参加し、たくさんの人に出会うことで新しい価値観をインプットしたり☕️
年明けから内閣府主催の青年の船というプログラムにも日本代表青年として参加させていただくことが決まりました🚢
船上では日本文化を何か伝えたいと思い、現在つまみ細工と水引でのピアス製作に忙しくしています。
240人の参加青年と船で共同生活にワクワクがとまりません☀️

 

Be the change projectで得た気づきの一つに、
“就職して企業に所属しても「ただ毎日仕事に行って帰るだけの社会人」になるか、「誰かあるいは何かに変化をもたらすことのできる社会人」となるかは自分次第だ”ということがありました。
正直、このまま今の会社で働き続けるのでいいのか、社外活動に力を入れる前に社内でやるべきことがあるのでは、と思うこともあります。
が、「誰かあるいは何かに変化をもたらすことのできる社会人」で居続けたいと思い、自分ができることから取り組めたらと思っています。
そんな大切な指標をくれたレインボーチルドレンには感謝しています。」

 

Be The Change Project 2018感想(はん)

 

大阪大学外国語学部 陳 達尔罕夫

今回の12日間のスタディーツアーを通して、改めて自分と向き合うことができました。
自分と向き合うきっかけを作ってくれたのは大きく3つあります。
一つ目は、一緒に6回の事前研修を行い、12日間行動を共にした日本人学生です。一からワークショップを自分たちで作るというとても大変なことをする上で何度もチームビルディングを繰り返したり、ワークショップがより良いものとなるようにインドへ行く前の一週間は毎晩毎晩電話ミーティングを繰り返していました。この仲間たちとの協力や対話などを通して自分がチームにおける役割はどのようなもので、自分のいいところはどこか、自分がもっと改善させなければならないことは何かをしっかり考えることができました。インドで過ごしていた時も、様々なテーマについてお互いの考えを共有したり議論したりすることができ、たくさんの刺激を受け、もっと精進していこうと決意しました。

二つ目は、ダラムサラで出会ったチベット人奨学生たちです。彼らと過ごした時間は半日ととても短かったのですが、話し合った内容は今回の12日間のスタディーツアーの中でも最高に充実したものでした。個人的なことでいうと、アイデンティティの形成という部分で僕の境遇はチベット人奨学生とどこか似ていて非なる部分があり、互いが自分の考えを伝えることによってより広い視野、もしくは考え方というものを見つけることができました。


三つ目は、スラムで出会った子供たちです。スラムをみた正直な感想は、自分だったらここでは生活できない、ということです。しかし、そんな劣悪な環境下でも子供たちは笑顔で過ごしていました。そんな子供たちをみて、幸せとは何か、を考えました。今もまだその答えは見つけていませんが、自分が今過ごしている環境が何一つ当たり前だなんてことはなく、常に感謝の心を持って生活していこうとおもいます。


最後に、このような貴重な体験をするにあたり、協力してくださった全ての皆様に感謝です。ありがとうございました。

 

 

Be The Change Project 2018感想(ねね)

 

国際基督教大学ICU 小山寧々

ねねちゃん、なんでインド行ったの?

インド楽しかった?やっぱり毎日カレーなの?

日本に帰ってきてからの周りの反応はだいたいこんな感じでした。私にとってのインドで過ごした日々は、楽しいという言葉だけでは表しきれない密度の濃ゆい時間でした。そしてもちろんカレーばっかり食べてたわけでもありません。(笑)

空港に着いてホテルに向かっただけの1日目。ただそれだけでも日本で生活していて当たり前だと思っていたことがどんどん覆されました。一歩空港を出れば野犬に囲まれて、バスに荷物を積んでもらおうと思ったらスーツケースが車体の上に積まれロープで縛るだけでバスが出発し、ハイウェイはまるでカーレースみたいに速度制限なんて誰も気にせず目まぐるしく車線変更が繰り返され、あちこちでクラクションが響きます。「何これ面白い!」と笑ってしまったのを覚えています。

そしてもう一つ衝撃的だったのがスラムツアーです。もうすぐ日本に帰るという行程の終盤でなんだかインドを知った気になっていたところで、はっとさせられたのがスラムの子供たちとの交流でした。日本の小学校の教室の1/4以下の部屋に机も椅子もなくぎゅうぎゅうに座って、それでも「勉強好き!」という屈託のない笑顔に溢れていました。子供たちが披露してくれた英語の詩の暗唱からもその気持ちは存分に伝わって来ました。インドのスラムなんてこのツアーじゃなきゃ二度と来なかったかもしれない場所で、訪問を歓迎してくれる人がいるということに心がじわっと温まり嬉しくなりました。それと同時に自分がいかにこういった事実に対して関心を持たず目を瞑っていたのかということにも気がつきました。

このプロジェクトの目的は「変化の中心」に自分たちがなることでしたが、インドという環境に身を置くことで、開発が進み発展している、まさしく変化の中心であるインドを知ることができたと思っています。

知るという観点で他に達成できたことは、「チベット人奨学生」を知るということです。

ワークショップ作成の段階でチベット人の奨学生はこんなことを考えているこんな人なのではないか?というペルソナ作成を行ってきました。しかし、既に彼らのことを知っているレイチルスタッフの話やレポートだけから実際の人物像を想像するのは難しく、渡航するまではしっくりこなかったのも事実です。

ワークショップ当日に本番の会場で準備している時もその気持ちは変わらず、本当に楽しんでくれるのだろうか?という不安の方が大きくありました。しかし、一度ワークショップが始まってしまえば今までぼんやりとチベット人奨学生という括りの中の一人だったのが、彼は夜静かな中で詩を読むのが好きな男の子、彼女はおしゃれが好きでメイク上手な女の子と言った風にその個人を知るようになりました。

ワークショップでの「どういう時に幸せを感じる?」といった対話や、休憩時間にした何気ない会話を通して、それまで想像もつかないくらい遠い存在だった一人一人のチベット人奨学生が身近なものになっていきました。お気に入りの口紅の話や恋人に会いたくて寂しくなる話をきいていると、すごく直感的に同じだなあと感じました。

またそんな中で聞いた彼ら一人一人のチベットへの愛国心やダライ・ラマ法王への尊敬の気持ち、平和を追求する姿勢にはその志の高さに驚きもありました。「チベットのために、平和のために働いていきたい」という彼らの考えの根底にはダライ・ラマ法王の教えというものが深く根付いているのだと知りました。

そして、この「ワークショップを作る」という面で関わって来た日本人学生チームのみんなとの出会いもこのプロジェクトを通して得た大切なものです。

当初関西の大学生が対象だったところに、私が加わらせてもらったのをきっかけに関西外の学生も含めプロジェクトを進めることとなりました。地理的にも離れていて、お互い忙しい大学生活の合間を縫ってミーティングを重ねて渡航前の準備をして来ましたが、実際にインドに着いてからこんなにも密な関係になるとは予想していませんでした。「ワークショップを自分達でまず試してみよう!」と言って何時間も部屋で一人一人の生きがいを探し出そうとしたことや数日に及ぶ決起集会、そしてインドでの全行程を共に過ごしたことで上手くいかなくて悔しかったことまで含めて理解し合える関係になれたのだと思います。

レイチルのスタッフも学生も、インドに来たことやこのプロジェクトへの参加理由は様々だと思いますが、色んな想いを持った人が集まってこのチームになったのだと思うと、「呼ばれて行く国、インド」が何を表しているのか少しだけ知れたような気がします。

私の参加を快く受け入れてくださった石川さんをはじめとして、このプロジェクトに関わってくださった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

知らないことを知りたくて渡ったインドから帰って来て、まだまだ知らないことは山ほどあると気がつきました。そして、ダラムサラの透き通る青い空やデリーの夜に響くクラクションと駆け抜けるときの風の涼しさ、スラムに向かうために渡るの柵も踏切も無い線路のように自分が知ったことは誰かに伝えていかなければという気持ちも芽生えました。

もしこれを読んでインドに呼ばれたような気がした方、次はあなたの番です!

 

Be The Change Project 2018感想(あすか)

 

北海道大学歯学部 豊福明日香

 「生きる」とはなんなのだろう。なぜ「生きる」ことに意味を見出そうとするのだろう。自分をここまで「生かし」続けさせたものとはなんなのだろう。チベット亡命政府の元を訪れ、亡命してきたというチベットの学生と話し、またスラムを含めたインドのさまざまな場所と出会いそこに居る人々と出会う中で、どうしてもこれらの問いに向き合わざるを得なくなった。日本で何一つ不自由のない暮らしを送る一介の学生に、これだけ「生」のリアルさというものを痛感させ、かつその常識や当たり前に疑問を投げかけるほどに、インドという国はあまりに多様でカラフルで、チベットという「国」の人々はあまりに特別で、もし人間のイデアというものが存在するならイデアに近い人間のようにもみえた。
尤も、彼らには、彼らの在り方が当たり前であって特別だとかそのような意識がほぼ無いことは承知しているのだが。
ここでは、あくまで私が見たのはほんの一面に過ぎないことを念頭に置きながらもチベット社会そしてインド社会から、「生きる」姿というものをつらつらと書きだしてみる。


チベット人が生きる糧としているものは輪廻転生をもとにした宗教観と非常に優れた宗教的指導者であるダライラマの存在という精神的支柱であり、生き続けるという意志と自分の存在を支えているものに、あらゆる命が身近にあり、その命の中で自分がつながり生きるという生のリアルさ、インド社会の多様性と寛容性があると思う。
まずそのなかのひとつ、生のリアリティとはなんなのか。私が今考えているものとしては、今の自分を成り立たせてきたもの・人・場所などあらゆるものへの自覚的な実感である。例えば、ダラムサラで生きるチベットの人には、自分の命があるのは他の生きとし生けるものをいただいているからであり、地球と一つの生き物としての自分、命のつながりへの圧倒的な認識があると思う。道で野菜を売るおじちゃんの斜め向かいでは、鶏の首を落とし羽をむしりその肉を切り売りする人がいる。その鶏の羽毛が物凄い勢いでもうもうと舞い散る中、一方では魚をそのままの姿で並べて売るお兄さんがいる。小さい子供から大人まで、自分が何を食べているのか即ち何によって自分の命がつながれているのか身体の感覚として解っていて、だからこそ生きることが生きることとして輝いているようにも感じた。
また、家族や隣人との濃い結びつきや場所としての土地、家、地域社会は、自分を構成する大切な一ピースでもあり自分がそこに存在すべき役割でもあり安心できる居場所でもあり、なによりそれは自分を確かめる輪郭でもあるのかもしれない。地球という球体のほんの一部の点であるインドのダラムサラという場所で、当たり前のように誰か大切な人がそこにいて必要とし必要とされる、勿論凄惨な歴史によってそれがもう今では叶わないチベットの人も本当に多いけれど、だからこそ、そのひとの一人ひとりの存在の有難味と感謝を染み入るように心の奥で掴んでいるようだ。
逆説的であるようだが、生のリアリティというものを抱えながらも、確固たるアイデンティティを持ち誰にも揺るがされないような自分の強い信念を軸にしながらも、チベット仏教の輪廻転生を基にした価値観・世界観により、彼らはこの世界の何かに固執するということがないようにもみえ、淡々となすべきことをし、生きるということを全うしている。幸福や平和といったものが自分の内なる穏やかであたたかな泉源によって実現しうるものであるとか、今この瞬間の次に自分がここにいるなんて保障も確証もないという、私には到底想定もつかなかった感覚を持って毎日に臨んでいる人もいた。固執がないからこそこれまで存在し今存在するものに対して愛があり慈しみがある、とも言えるのかもしれない。またそんな彼らチベットの友人を受け入れるだけのインド社会の多様性と寛容性が、彼らがここで生きる支えとなっているようにも思う。宗教という観点から見ても、インドのコミュニティは自分と異質なものを排除する精神はなくむしろそれを包み込むものが多いという。例えば村のほとんどがクリスチャンでたった3家族だけがムスリムだったとしても、決して少数派の人が恐怖に怯えることはないとダライラマも言っている。人種も宗教もあらゆる違いがそこにあるだけという多様性のあり方、清濁伏せのむカルチャーと環境は、きっとそこに生きる人々の心を癒している。


ここで冒頭の問に戻ってみたい。私が「生きる」という行為を、息を吸うように当たり前に自然なものとして漠然と考えていたのには、自分が生を脅かされない環境で何かを欠くこともなく豊かさの恩恵に浸りきっていたから、ゆえに世界の生生しさにも目を逸らしていたから。一方で同じ「生きる」という行為を、独自の宗教的世界観で意味づけしながらも、圧倒的にその日常が非日常の刹那さを帯び、まわりを慈しみ過ごす人がそこにはいた。自分を生かし続けるものに対して自覚的であるのが後者で、自覚にいたらないのが前者である。そしてきっと生きる自分の存在意義なんてものは、どんな宗教かに関わらず、それがどんなに大切でも大切でなくても、知性である人間が意味づけした世界の中でしか存在しないのだと思う。それでもどうしてもきっと人間は自分の存在そのものを確かめたくて、人と世界とあたたかく繋がりたくて、意味を探し求めるのだろう。
ただ地球上の他でもない“この場所”に“人間として”生まれてきた。それが生きるということをシンプルにも、途轍もなく複雑にもしている。インドで出会ったチベットの人びとを見て改めてそう思った。私も生きることから逃げずに生きたい。

 

Be The Change Project 2018感想(しらたん)

 

立命館大学国際関係学部 白井 莉奈子

日本に帰国して7日間。動けない、寝られない、食べられないという三重苦に悶えた日々が終わり、ようやくインド渡航を振り返ることができる状態まで回復しました。


インドと言えばデリー。そう、デリー。私の体調不良の元凶となったあのレストランがあるところ。ディナーを食べながら見下ろした景色は奇妙だった。店から漏れる白い光を頼りに車が横行し、野犬が走りまわり、それを縫うようにありとあらゆる布を身にまとった人間が地を埋める。そしてクラクションがBGMと化して、澄んでいるとは到底言えない大気に溶け込み、夜の空に吸い上げられてゆく。私はふと気になって夜空を見上げてみる。やはりこのまちでは満点の星空を間違っても望んではならないのだと再認識させられ、意識をもう一度下に戻す。さっきそこにいた人なんてもうどこかに行ってしまっていた。このまちは動くのだ。動き続けている。今見ているこの景色だって一秒後には様相を変えて、もう二度と見ることはできなくなる。それなら一瞬でも多く、一秒でも長くこの光景を目に映したい思った。誰もまさか自分が見られているなんて気づいていないんだからいいでしょ?と自分自身に言い聞かせ、何か見てはならないものを見たかのような罪悪感を打ち消す。それが私のインド最後の晩の過ごし方だった。そしてこの情景はこれから私を無意識下のうちに蝕んでゆくだろう。どんどん、どんどん。なぜか直感でそう感じた。


盛大な拍手が会場いっぱいに鳴り響いた。目の前では獅子が舞いを繰りひろげている。4日前、私はダラムサラにいた。チベット亡命社会の中心地である。この日は、法王さまの科学会議に合わせたチベット文化にまつわる舞台があった。不覚にも私は芸術に感動してしまった。瞬間、祖国を離れたチベット人奨学生の顔が頭をよぎり、東方医療の解説の女性の声が耳を貫き、長時間の夜行バスを降りた後のサラッとした空気が頬を掠めた。するとなぜかそれまで“あたりまえ”に捉えていたことがとても綺麗なことに思えた。社会を突き動かしているものは他でもなく人間の感情だということ。そしてその感情のはけ口の総体が今の世の中なのだということ。政治も経済も、宗教も、建築も医学も、人間の欲望や情動、理性によって醸成される。人間の感情によって創られ、人間の感情によって破壊される。そうして創造されたものはどれだけ醜い感情で塗り固められていたとしても、感情に忠実だと言う点では何よりも美しい、そんな気がしてならなかった。

 

いま、重なってふたつの記憶が蘇る。

もしかするとデリーで見たあの混沌とした世界は、暗に人間の美しさを示していたのかもしれない。

 

 

私は、
いかに美しく生きられるだろうか。

 

Be The Change Project 2018感想(あやか)

 

立命館大学 経済学部 新道彩加

 私がこのプロジェクトに参加したきっかけは、大学でお世話になっている先生から紹介してもらったことでした。初めは、「インドに行ってみたい!」「世界の教育がどうなっているのか知りたい!」という自分の好奇心に動かされ、チベット問題に関して深く理解していない状態で参加が決定しました。しかし、国内での研修と現地での体験を通し、チベットの人たちが抱えている様々な思い、チベットの伝統を守り続けるための政府の対応を知り、日本の生活の中では決して分からない数多くの貴重な経験をすることができました。
またチベットに関すること以外でも、現地の学校訪問やスラムのツアー、デリー市内の観光など全てが有意義な経験となりました。

1 日本チベット学生会議を通して

このプロジェクトのメインであるワークショップを通し感じたことは、生まれた場所や社会的な背景が違っても共通する点は多いということです。サラ大学では「平和」とは何かについて考えました。私たちの班では、お互いが認め合う姿勢をまずは持つことが大切だということに対してみんなが共通認識を持っており、平和構築のために必要なことについては共感し合える点が多かったです。
ワークショップを通し驚いたことは、チベットの学生が普段から社会の変化に関心を持ち、幸せな暮らしをするために自分は何ができるのかについて具体的な意見を持っていたことです。私は日本人として「国」があることが当たり前だという感覚で生活していましたが、チベットの学生と交流することで、これまで当たり前だと思っていたことを考え直すよい機会になりました。
最後に、チベットの学生が思っていた以上に日本に関心を持ってくれていたことがとても嬉しかったです。よくスマホなどで日本のアニメを見ているらしく、班のみんなが積極的に日本に関する質問をしてくれました。ワークショップの時間以外での交流も楽しかったです。

2 現地の学校訪問での気づき

ダラムサラのチベット人の小学校とデリーのスラムスクールの訪問も忘れられない体験でした。ダラムサラでは質の高い教育が行われていたことに驚きました。例えば、小学生で既に4カ国語を学んでおり、英語に関しては子どもたちが私以上に流暢に話していました。また、生徒と先生の距離が近く、生徒のちょっとした疑問に先生が優しく丁寧に答えている姿が印象的でした。子どもたちに「勉強することは好き?」と私が聞くと、みんな元気よく「yes!」と返答してくれて、主体的に学ぶ姿勢があり、日本の教育でも参考にできる点が多かったように思います。


デリーのスラムスクールでは、子どもたちが出会った瞬間、明るい笑顔で話しかけてくれました。小さな教室では、子どもたちが歌を歌ってくれて、これまで私は「スラム」という言葉に対しマイナスなイメージを持っていましたが、その印象がこの訪問を通して変化しました。しかし、学ぶ環境に関してはやはり日本とは大きく異なる部分は多く、子どもたちの「学びたい」という意欲が、大人の都合や経済的な問題によって奪われてしまうことには疑問を持ちました。20歳のスラムスクールの先生との出会いもあり、同じ教師を目指すものとして、彼女のように子どもを心から大切にできる教師になりたいと思いました。

3 インドという国について感じたこと

インドに到着してからは、驚きの連続でした。まず大気汚染で街中がくもっていたり、常に車のクラクションが鳴り響いていました。みんな運転が荒く、車線はあってないようなものでした(笑) 海外に行くとこれまでは、「日本に帰りたくない」が口癖でしたが、今回は「日本に帰りたい」という気持ちが出てきてこれも新たな経験でした。しかし、ダラムサラでは、ヒマラヤ山脈などの自然に囲まれて、日本とは違った環境で過ごせました。想像以上にカオスな国でしたが、異文化体験という意味では最高の国でした。

4 多くの人との出会いから得たもの

このプロジェクトでは、インドの人々、チベット人学生、政府の方々、さらにはダライ・ラマ法王などと自分とは全く異なる生活環境で暮らしている人との出会いが多く、そのためその人たちの持つ様々な価値観に触れ、視野を広げることができたと思います。しかしそれだけではなく、一緒に参加したメンバーとレインボーチルドレンのスタッフの方々との出会いも私にとっては大切なものでした。
メンバーのみんなはそれぞれが自分の将来に夢を持ち、それに向かって今何ができるのか考えており、たくさんの刺激を受けました。今回の参加の動機は違っても、みんなと自分の持っている考えや意見を話合えたことは貴重な時間だったと思います。そして、世界をより良くするために活動を行っていらっしゃる、石川さんをはじめレインボーチルドレンの方々にも大変お世話になりました。今回のプロジェクトでの学びは、どこかで必ず還元していきたいです。そして、また何らかの形でレイチルに関わっていけたらと思います☺

 

Be The Change Project 2018感想(かず)

 

大阪市立大学 法学部1年 中山一仁

1.このスタツアのメインテーマである日本チベット学生会議について

日本チベット学生会議では、サラ大学で様々な学校から来るチベタン学生と、そしてデリー大学の学生たちとワークショップを行いました。日本学生はサラ大学チームとデリー大学チームに分かれて、別個にワークショップを企画しておりました。私は、デリー大学チーム所属でデリー大学にてワークショップを運営する予定だったのですが、ワークショップ当日に集団食中毒にかかり、当日はホテルでずっと寝込んでいました。サラ大学のワークショップは参加できたのですが、肝心の自分たちデリーチームのワークショップに参加できなかったので心残りです。
しかしながら、サラ大学でのワークショップは本当に自分にとって刺激的でした。『平和』についてお互いの平和観や、平和の理想像のようなものについてディスカッションしました。私が、やはりここでチベット人学生達から学んだものは、“Without hurtingothers, we should change our own mind.”ということ、つまり他者を責めたり、傷つけたりするのではなく、まずは自分の心、行動を変えなければならないということです。私たちは、何か自分にとって都合の悪いことが発生すれば、ともすると他人を責め、傷つけてしまいます。しかしそこでひとまず考えてみるべきなのです。自分に責任や過失は無かったのか。そのような思考プロセスを持てば、人間関係の摩擦をなくし、あるいは最小限に抑えられることもできるのではないでしょうか?このような考え方は、チベット仏教と親和性が高い様子で、一緒にディスカッションをしたチベット人学生たちも仏教観を持っていて、信仰が厚いように見受けられました。

2.リンポチェの説法

リンポチェ(Rinpoche)という言葉は傑出した仏道修行者に与えられる尊称であります。今回のスタディーツアーの活動の中で、タムトゥクリンポチェという方に説法をしていただきました。既述の仏教観もお話になられていました。『宗教』について彼は、「ダライ・ラマ 14 世も語るように、我々一人一人の人間には異なる宗教が役に立っていて、精神的な支柱となっている。それならば宗教は共存し、尊重しあうことが良い。その個人の興味・関心にあった宗教を選べるように『宗教』は存在する。」とお話になられていました。全くその通りだと私も思いました。世界には『宗教対立』というものが未だ存在します。信じる宗教、神が違えば思想規範であったり、行動規範であったりというものは差異が生じうるものなのですが、そこで私達は、異なる宗教に対面したとしても、否定ではなく肯定の姿勢で対話に臨むべきなのだと感じました。個人的にリンポチェが語られる仏教観に深く共感致しましたので、完璧に彼の発意に沿えていないかもしれませんが、もう少し彼のお説教について記述させて頂きたいと思います。「仏教は苦しみからの解放法を教えるものであり、どうすれば幸せになれるのかを教えるものである。そして、1…体(真)、2…言葉(空)、3…心(意)の三つの行において善い行いをすることが肝要である。自分の幸せをまず実現しようとするのではない。他の者の幸せを実現しようとすることで、自分の幸せが堆積していく。」。私はこの彼の言葉を聞き、これからの日常生活に活かそうと考えました。曲解してしまっているかもしれませんが、《自分の幸せ》の実現の為に《他の者》の幸せを実現しようと邁進することを心に留めて、これを己の価値基準の一つにしていきたいと考えています。

3.スラム街にいた生徒や子供たちと出会って

現地スラムで、子供たちのいる学校へ行き、沢山の元気な子供たちに出会いました。彼らは小さい教室に 30 人程度が一緒になって授業を受けていて、私たち日本人学生に会うとまず自己紹介をして下さいました。それもオリジナル(?)ダンス付きで自己紹介をして下さりました。とても可愛かったですね。また、私たちに非常に興味を示してくださり、私にも『好きな教科は何?』だとか、『あなたの好きな食べ物は?』等などたくさん質問をして下さりました。あまり子供たちとお話をする時間がなく、その場を出発してしまったのですが沢山聞きたいことがありました。『あなたの夢はなに?』、『この学校をどう思っている?』、『もっとこうあって欲しいなということはある?』等など、もっと彼ら彼女らの内面に耳を傾けたかったです。彼ら彼女らはとてもその場所で活き活きしているように思い、だからこそ何か私たちが介入することは少し違うかなとも思いました。確かに、教員の数や、教室の環境など改善すべきところはありました。しかし、彼らにとって今の環境が思い出の学び舎であり、“故郷”でもあると感じ、そこに第三者が介入して変容せしめることはしたくないなと思いました。重ねて述べることになりますが、彼ら彼女らが何を感じ、何を思っているのかをもっと知りたかったです。

4.まとめ

食中毒になったことも含め、インド(チベット)で見た景色、出会った人々は私にとって刺激的で今後の私の生き方に強く影響を与えるものであったと思います。
レインボーチルドレンの皆様、そして資金を提供してくださった皆様、そして一緒にインドに渡った日本人学生チームの皆様、貴重な経験をさせて下さり誠に感謝し申し上げます。