日本から派遣された国際緊急援助隊の救助チームが活動を終えて9日に帰国しました。諸外国からの救助チームは徐々に帰国し始めるなど、焦点は、生存者の捜索活動から被災者の生活支援へと移っています。
その一方で、被災した山間部や地方の村には政府などの支援がいまだに届いていない状況が続いています。約3000人の犠牲者を出したカトマンズ北方地域の住民からは、「政府からはまだ一切支援を受け取っていない」と不満の声が上がっているとの報道がありました。
レインボーチルドレンが支援を決定したチベット難民キャンプも同様です。これまで奨学生ペマちゃんを通じて得てきた現地キャンプの様子は、次第に落ち着きを取り戻してきたものの、これから通常の生活に戻していくには険しく長い道のりが必要だということがはっきりしてきました。
サンドゥプリング難民キャンプ(通称ジャワラケル)
ペマちゃんが生まれ育ったのは、カトマンズの空港からほど近いサンドゥプリング難民キャンプです。1960年に90人の入植からスタートし、現在では1082人のチベット難民が共同生活をしています。通称ジャワラカル難民キャンプと呼ばれるのは、「ジャワラケル・チベタン・ハンディクラフトセンター」と呼ばれるカーペット、ショールジャケットやその他の手工芸品のアイテムを製造する工場がこのキャンプの中心となっているからです。この工場はネパールで最大のカーペットの製造拠点の一つであり、難民キャンプの生活を50年以上も支えてきました。キャンプには協同組合があり、他に学校や保育園、クリニックがあります。
そのジャワラケル・チベタン・ハンディクラフトセンターが、先日の震災で大きなダメージを受けたとの連絡が入りました。
工場の操業は停止したままです。おそらく数ヶ月に及ぶ可能性があります。その間、工場で働いているキャンプの住民たちは給料がもらえないことになります。Pema
ペマちゃんは、デリーの大学の友達に呼びかけ、キャンパスで募金活動を始めました。
Tsechu Dolmaさんよりの情報
ペマちゃんの繋がりで、現在アメリカのコロンビア大学に留学している同じ難民キャンプ出身のTsechu Dolmaさんとつながりました。政経学部で学んでいる彼女は震災後急きょ帰国し、各地の難民キャンプを廻って女性たちの支援を中心に精力的に活動しています。
その彼女からの、ジャワラケル・チベタン・ハンディクラフトセンターのレポートです。
ジャワラケル・チベタン・ハンディクラフトセンターは震災以来閉鎖されています。そのため、300人の従業員に悪影響が出ています。彼らの多くは週払いの賃金で生活をまかなっています。現在、生活共同組合が従業員に賃金を支払っていますが、一ヶ月以内にそれも尽きてしまうかもしれません。人々が建物の中に入ることさえも危険な状態です。建物の基礎が壊れかかっているからです。建て直すには500,000ドルかかります。このセンターは生活共同組合として1962年より運営されています。50年以上500を超える世帯を支え続けてきました。従業員は無料の保育、補助のある健康保険、普通教育、年金、有給休暇を受けることができます。それはまた、ほとんどのネパールでの成功したチベット人の起業家にとって、トレーニングの入り口でもありました。世界的に模範的な共同組合式経営ビジネスのモデルとして存在してきました。
また、私自身にとっても身近で心から大事なものでもあります。というのも、私の祖父母や両親が最初にカトマンドゥに無一文で、国籍のない難民としてたどり着いた時、ハンディクラフトセンターは雇ってくれ、また勉強させてくれたのです。私は自分のチベット人難民キャンプの家族たちにハンディクラフトセンターがしてくれたすべてに本当に感謝しています。それは確かに私の家族の運命を変えたからです。ハンディクラフトセンターの再建の努力のためにご支援いただけるとうれしいです。
訳:翻訳チーム平野貴美枝
カトマンズ行きを決定!
今回の巨大地震をきっかけに、奨学生の出身であったネパールのチベット難民キャンプのことを初めて詳しく知ることになりました。国民の3分の1が被害を受けるほどの災害にあって、国を離れた難民という立場がどれほど安全保障のないものかを痛感しました。今のところネパール政府も、チベットは領土だとする中国も、難民政府である中央チベット政権も、直接救いの手を差し伸べる動きはありません。国や行政ができない今こそ、非営利・非政府組織であるNPOやNGOが動くタイミング、存在価値だと考えます。
しかし、ジャワラケル・チベタン・ハンディクラフトセンターの再建には50万ドル(約6,000万)という膨大な費用がかかります。ここは単独ではなく、世界中にあるチベット支援組織とも連携を図る必要がでてくると考えます。既にいくつかのNGOとは連絡を取り始めています。
そして、実際に現地の状態を知らないままでは何も始まりません。
今回の緊急支援募金は、大学の試験を終えカトマンズに帰省するペマちゃんに託す予定でスタートしましたが、5/18からレインボーチルドレンも一緒にカトマンズ入りすることを決定しました。
代表の石川と、東京支部長の三村の2名がネパールへ向かいます。三村はまずデリーに向かい、ペマちゃんを連れて飛行機でカトマンズに向かいます。ペマちゃんは当初デリーからの陸路移動を予定していましたが、通常でも2日かかるバス移動は現在はどれほど時間がかかるか想像がつきません。そして道路や公共交通手段が復旧していない中での移動は困難を極めると判断し、初めて飛行機に乗るペマちゃんと同行することにしました。チケット手配はデリー支部長のサージャンが協力し、早朝フライトとなるペマちゃんの前泊と空港までの送迎も引き受けてくれました。石川は直接カトマンズに向かい、約4日間キャンプに滞在する中で現地の被災状況を確認し、自治体の責任者やジャワラケル・チベタン・ハンディクラフトセンター、そして現地NGOなどと今後の復興計画について話してくる予定です。ちなみに団体2名の渡航は全て自費で行います。
今、我々にできること。
それは、寄り添うことです。
『格差』によって希望の光が途絶えてしまわないように。
『ちゃんと見ているよ』というこころが、ひとつでも多くの希望の光を灯せるように。
精一杯わたしたちでできることをさせていただきたいと思う。~vol.1始まりより
そして、昨日(5/9)、無事に試験を終えたペマちゃんから連絡がありました。
今日は家に電話をしました。難民キャンプのみんなは、テント生活からそれぞれの家に戻り始めています。私たちのキャンプの工場は修理が始まりました。彼らは今後数ヶ月無職になります。私は、このテスト休暇中に彼らとより多くの時間を過ごすようになると思います。
そして、家族にレインボーチルドレンのお二人の訪問について話しました。彼らはお二人に会えることを興奮しとても楽しみにしています。そして私に飛行機での帰省をプレゼントしてくれたことに心から感謝しています。早く会いたいです!
歓迎してくれるキャンプの皆さんへ、日本の皆さまより集まった緊急支援金を直接渡すことができます。
そして、寝袋持参でテント生活を覚悟していましたが、どうやら屋根の下で寝ることができそうです!
vol.3へ続く
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★★チベット難民キャンプ緊急支援★★
レインボーチルドレンでは、国際的な支援が届きづらいチベット難民キャンプの支援のため、緊急募金を受け付けています。ネパールに世界中からの支援が集まっても、難民という立場や住民IDがないことが救済の優先順位を低くさせ、復旧までの道のりが遠いことが予想されます。直接支援には皆さまの協力が必要です。
▼銀行振込、ゆうちょ、カード(VISA、MASTER)での寄付は特設ページへ
http://rainbowchildren.holy.jp/archives/5352
▼Tポイント、カード(JCB)での寄付はYahoo!募金サイトへ
http://donation.yahoo.co.jp/detail/5029002/
▼チベット難民キャンプ緊急募金箱を全国へ発送しています
http://rainbowchildren.holy.jp/archives/5561
▼売上げ100%寄付チャリティセールはチャリティサイトへ
http://rainbowchild.thebase.in/