奨学生FILE. Tenzin Dasel(6期生)


 

Tenzin Dasel さんはJNUの修士2年生です。今まではデリー大学の学生ばっかりでしたが、今回はJNUの学生です。JNUはJawaharlal Nehru Universityの略で、インドの初代首相Jawaharlal Nehruさんの名前をつけた大学です。

Tenzin Daselさん。とJNさんの銅像

 

今回は大学構内で話を聞けました。僕も協力隊時代にタンザニアの大学で講師をしていたので、大学には興味があるんです(笑)。

JNUは非常に大きい大学で、入り口から講義棟まで行こうとすると、20分くらいかかりそうでした。大学内は緑が多く、静かで、まるでデリーにいる気がしない、大学外部の喧騒が嘘のように静かで良いところでした!大学内に学生の寮や職員の社宅もあります。さらに食堂や食料品・日用品のマーケット、理髪店も何でも揃っていて、大学内で生きていけると感じました。

 

Tenzin Daselさんも「食料もここで買えるので大学外部に行くのは稀です。」と言っていました。こんな静かで落ち着ける処なら、外部には中々行かないなーと思います。ほとんどはインド人の学生ですが、外国人留学生もいるそうです。ヨーロッパの人や韓国人、中国人が多いそうです。確かに大学内を歩いている時に、東アジアの顔の人をたくさん見ました。日本人も少しいるそうです。

 

Tenzin Daselさんの専攻は韓国語です。linguistic、literature、韓国の文化、歴史の授業があります。授業では、記事を翻訳したり、韓国の歴史、文化について、学生同士で議論したり、レポートを書いたりしています。次のセメスターでは卒業課題があり、自分でテーマを決めて、それについてレポートを書きます。今考えているトピックは韓国とチベットで似た語り歌のスタイルがあるらしく(1人が太鼓を叩いて、もう1人ストーリーテリングする?)この語り歌の共通点と差異について調べようと考えているそうです。「毎月テストがあるし、期末も試験があり大変です。」と言ってました。

またE-classというのがあり、韓国にいる教授が遠隔でリアルタイムで授業をしてくれるそうです!!コーセラとかは聞きますが、遠隔でリアルタイムで授業受けれる、、そんなシステムがあるなんて凄いと思いました。

学部もJNUで韓国語を専攻し、その頃は韓国語のWriting, Reading, listening, speakingを勉強していました。



「授業後はジョギングをしています。あと宿題をします。料理が好きで、夕食は自分でチベット料理を作って、週末はインド料理なんかも作っています。食料品は大学内のマーケットで買います。」

 

JNUでチベット人のユニオンがあり、年2回交流会?みたいなものがあるそうです。チベット料理を作って、チベットの伝統の服を着て、チベットの楽器を演奏するそうです。

他にもインド全土からチベット人が集まり、インド人、チベット人の有名な人から、現在の法律、政治体制を話しを聞き、今チベット人がぶつかっている課題を共有して、解決策を議論する会議やワークショップをJNUで開催してるそうです。Daselさんはその会議のオーガナイザーの1人だそうです。

こういったチベット人同士が交流するためのイベントがあるのは凄いと思いました。難民としてインドにいるからこそ、こういったイベントを開催し、自分達の文化を確認したり、チベットの人々の状況を改善していく活動をみんながしているだなと、、思います。

Daselさんは卒業後、韓国かインド系企業で韓国語の翻訳、通訳家として働くつもりです。DaselさんはIC(インド政府からチベット難民に発行される身分証)を持っていて、これがあれば、インドの民間企業で働けるし、一部の外国にも行けるそうです。その後はチベット仏教の修道院でチベット仏教について勉強し、最終的にはチベット仏教の僧侶達の言葉を正しく韓国の人々に伝えられる翻訳・通訳家になりたいそうです。

「ダラムシャーラにいた時、多くの韓国人が寺院を訪問し、話を聞いている場面を見ました。でも単に通訳できている人はいても、双方の文化、考え方を理解して正しく通訳できている人はいないのではないかと感じました。私はチベットと韓国文化を深く理解して、正しくチベット仏教を韓国の人々に伝えられる存在になりたいと思っています、こうすることでチベット文化に貢献したいと思っています。」

 

Daselさんは、8歳の時にチベットからインドへ亡命してきました。Daselさんがより良く勉強、生活ができるよう、家族が送りだしたそうです。家族はみんなチベットでDaselさんだけがインドに来ました。こちら(インド)に親戚もなく、亡命してからはTCV(チベット子供村:チベット人学校のひとつ) Gopalpurでずっと生活をしてきました。「私がTCV Gopalpurへ通っていた時は同じような境遇の人がたくさんTCVにいました。最近はチベットからインドへ亡命してくる人はほぼ皆無で、元々インドで生まれたチベット人(二世三世)がTCV Gopalpurに多く通っています。」

 

「亡命してくる時も苦難なくこっちに来れましたし、小さい頃はTCVで友達と一緒に楽しく生活してたので、何の問題もなかったです。大きくなるに連れて、自分の状況の大変さを理解してきましたが。。。」

「両親とは大学1年生の頃、初めて話をできるようになりました。それまでは携帯がなかったので、連絡が取れなかった。今は毎週土曜日が家族と話しをする日です。」

「できるだけ早く、チベットを訪れ、両親に会いたいなと思ってます。将来に何があるかわからないので。」

 

Daselさんには、チャイとサモサをご馳走になりました。「ここの食堂のチャイはとても美味しいんです!」とめっちゃ薦めてくれました。JNUの中も案内してくれました。

帰りは入り口まで送ってくれました。そこにたどり着く道中もJNUの施設について、いっぱいガイドしてくれました。ありがたかったです。。

頼れる家族がインドにいなくて、会えない中で、言語のエキスパートになるべく、勉強を頑張ってる。さらに自分がチベット文化に貢献できることを考えながら、頑張っている。

ホント、頭が下がります。スゴイ人でした!

 

話しを聞かしてくれて、ホントありがとうございました。僕も頑張ろうと思いました!!