Be The Change Project 2018感想(さえ)


 

同志社女子大学 看護学部 2年 関家紗愛

私がレインボーチルドレンの日本チベット学生会議で学んだことは3つあります。

1つ目は対話の大切さです。日本人学生とワークショップをつくる過程を通して、そしてチベット学生との関わりを通して対話がいかに大切かを学びました。ワークショップをつくることがメンバー全員初めてだったため、初めはみんな手探りの状態からスタートしました。またワークショップの対象が一度も会ったことのないチベット人奨学生だったため、文献を読み、実際彼らに関わったことのある方々の話を聞きながら彼らを想像してワークショップ作成をする必要がありました。ワークショップ作成に対するメンバーの思いは強く、考えの違いから衝突することもしばしばあり、ワークショップを根底から考え直すことも数回ありました。その過程の中でお互いが諦めず対話することで解決の糸口が見えてくるということ、そして対話の大切さを学びました。またワークショップ中のチベット奨学生との平和に関する話し合いの中で、一人一人の考え方や視点の違いを知ることでお互いに何か気づきを得ることが出来ました。今回の議論では想定していたほど深い議論を交わすことが出来ませんでしたが、お互いの事を知る一歩は対話であるということを心から感じました。

ダラムサラでのワークショップ
デリーでのワークショップ

2つ目に学んだことは現地に行かなければわからないことがあるという事です。現地に行く前までは本やインターネットを通して学んだ知識をもとにチベット人はこのような人たち。という固定観念を持ち、彼らを一般化して考え、自分たちとは異なる他者として気付かぬうちに認識していました。しかし現地で実際彼らと関わってみて、当たり前の事だけれども、一人一人異なる個性が有り決してチベット人難民とひとまとめに考えられないということに気付かされました。また彼らと対話をする中で、自分と共通すること、また異なることを感じ、実際に会うまで遠い存在だった彼らを一人一人近い存在として捉えられるようになりました。これはとても些細なことのようですが、何かチベット社会について学ぶときやチベット問題について考える時、実際に現地で自分が関わった人々の顔が思い浮かぶことはとても大切なことだと思います。なぜならその事により、その関連事項が身近に感じられ積極的に学ぶ姿勢を持てたり、またそれが何かのアクションを起こすきっかけになり得たりするからです。また、それ以外にもインド、デリーでの大気汚染・衛生環境を身をもって知ることも、ある程度は文献で知ることができますが、現地に行かなければ体感できません。また、インドのスラム街で学ぶ子ども達の様子・スラムの雰囲気も同様に現地に行かなければ体感できないことです。スラムと言えば敬遠されがちですが、そこには人々の生活があり秩序があり人々が暮らしていることを、短時間訪れただけですが感じました。このように、現地に行く前までは文献を読むなどして知ったつもりになっていたことが多々ありましたが、現地に行くことでしか得られない新たな発見や気づきがありました。それと同時に現地の人々に十分に目を向けられていなかった自分の視野の狭さに気付かされました。

スラムスクールにて
スラム街の中央を走る線路前で

3つ目に学んだことは、様々な視野を常に持ち物事の背景を知る姿勢を持つ必要性です。チベット人奨学生と関わる中で、チベット人奨学生達の置かれている現状をある程度しか理解しておらず狭い視野で彼らについて考えていた自分を反省する事が多々ありました。例えば、私たちが関わったチベット人奨学生は数名のチベット語しか話せない学生を除いて、英語が堪能であり英語で自分の意見をしっかりと伝えられていました。またCTAの小学校を訪れた際は生徒は4カ国語を同時に学んでおり、その高度な教育に驚かされました。このように聞けばチベット人の教育の質の高さを書いているだけのように見えます。しかしチベット国内でチベット語教育が禁止されていること、チベット語の使用が規制されていることを考えると、それらの言葉を習得せざるを得ない現状が見えてきます。私はあるチベット人奨学生の友達と話している中で、「日本人は英語が話せる人があまり多くないというけど、自分たちの言語(日本語)により多くの重点を置けることはいいことだね。私たちは英語が話せるけれど、自分たちの言語(チベット語)を正確に話せる人が少ない。英語教育によって失われているものがあるよ。」ということを言われました。このように表面的なことのみをみて彼らの背景を知らなければ、見えてこないものがあります。その為には、様々な視点を持つために情報を収集した現地へ赴いたり、実際現地の人々と話をしたりすること、そして様々な視点を常に持つことを心掛け物事を考えること、そして物事の本質を見極めようと努力することが大切であるということを学びました。

 

インドへの渡航と事前研修を含めた今回のプロジェクトでは決して日本では学べない今後の人生において大切な事を学び、かけがえのない経験しました。第一回日本チベット学生会議は終了しましたが、今後も何らかの形でプロジェクトを通して出会ったチベットの人々やスラムスクールの子ども達と関わっていきたいと思っています。今回のプロジェクトを自分自身の将来への大きな一歩としてこれからさらに前進していこうと思います。

日本チベット学生会議inダラムサラ
日本チベット学生会議inデリー