Vol.64 コラム ちびっとインド情報【アーグラー城(世界遺産)】

Vol.64 コラム ちびっとインド情報【アーグラー城(世界遺産)】

2013年12月1日(日) 【アーグラー城(世界遺産)】

今回の旅の最後の観光地、アーグラー城情報です。

★アーグラー城(世界遺産)

デリーから車で4〜5時間、約200km南へ下ったウッタル•プラデーシュ州西部に位置する地方都市にあります。

インド全土を支配し、絶頂期を迎えたムガル帝国。

アーグラー城はその権力と繁栄の象徴でした。

1573年、13歳で帝位についたムガル帝国第3代アクバル帝によって建てられ、以後第6代アウラングゼーブ帝の時代まで造営が重ねられています。

アクバルというのは、イスラムの人たちが、「アラー、アクバル!」(アラーは偉大なり!)と唱える、あの「アクバル」です。
文字通り、アクバルは「偉大な王」なんですね。

アーグラー城は赤砂岩の強固な要塞で、『赤い砦』の異名を持っています。
赤色は帝国の力強さの象徴でした。

華美で優雅な「城」のイメージではなく、どちらかというと重厚で無骨な「城塞」という趣です。

その印象は間違ってはおらず、今も敷地内の約80%は実際に軍用施設のため立ち入り禁止。

一般に開放されているのは南部エリアのみですが、重要建築物が密集しており、見応えは十分です。

高さ20m、周囲2.5kmの二重城壁にぐるりと囲まれた敷地内には、皇帝一家の住居はもちろん、モスク(イスラム教の礼拝堂)やバザール(街頭市場)、一般市民の居住区まであり、1つの大きな街として機能していました。

外壁をはじめとする外観は非常に軍事的な雰囲気を放っていますが、この城の内部に足を踏み入れると、ガラリと雰囲気の違う場所が存在しています。

アクバル帝の孫で、帝国の絶頂期に皇帝となった第5代シャージャハーン帝は、白い大理石を使って増築し、宮殿に格上げさせました。

タージマハルの建築でも使用された白大理石は、シャージャハーン帝のお気に入りの建築材だったようです。

17世紀のデリー遷都以降は荒廃したものの、現在は修復されて、当時の華やかさを今に伝えています。

★愛と悲しみの物語

ヤムナー川を見晴らす眺めは印象的で、ここからタージマハルを見ると、ぐるっと曲がった川の水面に浮かんでいるように見えます。

タージマハルは、36歳の若さで亡くなった最愛の妃の霊廟、その建築に莫大な予算をつぎ込み、国家財政を逼迫させた第5代シャージャハーン帝。

のちに実の息子、第6代アウラングゼーブ帝に、城塞内にある『囚われの塔』(ムサンマン•ブルジュ)に幽閉され、晩年の8年間をここで過ごします。

皮肉なことに、この場所は白大理石に宝石を散りばめた皇帝好みの部屋で、皇帝は死ぬまで出ることを許されなかったそうです。

幽閉された皇帝が部屋から見ていたのが、対岸にある亡くなった最愛の妃の霊廟、タージマハル。

シャージャハーン帝はヤムナー川に橋を渡し、自らの墓として黒いタージを建築して、最愛の妃と永遠に結ばれることを夢見ていたといわれています。

栄華を誇り22年もの歳月と2万人以上の職人を費やしてタージマハルを造らせたものの、皇帝の座を狙った三男に幽閉された、悲劇の皇帝シャージャハーン帝。

皇帝は亡き妃への想いをはせながら、愛と悲しみの『囚われの塔』にて波瀾万丈の生涯を閉じることとなりました。

ここからヤムナー川越しにタージマハルを眺めながら、皇帝は毎日どんな思いで晩年を過ごしていたのでしょうか。

つづく…。

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Vol.62 コラム ちびっとインド情報【旅行中のトラブル事例集】

Vol.62 コラム ちびっとインド情報【旅行中のトラブル事例集】

2013年11月29日(金) 【旅行中のトラブル事例集】

今回私たちは大きなトラブルに巻き込まれることなく、無事にインドを旅することができました。

しかし、スリやボッタクリの被害は日常茶飯事のインド。

些細なトラブルであれば、インドでは『勉強代』だと思って笑って済ませるくらいの心構えが必要です。

トラブルに遭わないようにするには、それこそインドへ行かないのが一番。

ですが、トラブルを恐れてこの素晴らしい国に行くことを諦めるのは実に惜しいですね。

そこで被害を最小限に抑えるためにも、よくあるトラブルの事例を紹介しておきます。

川柳形式ですので頭のすみっこにでも入れておいてくださいね。

旅行中のトラブル事例とその対策

①『初めての インドの夜は 要予約』
空港で:深夜の空港でタクシーに乗ったら「指定したホテルは今日は満室」と言われ、別のホテルへ連れて行かれ、法外な料金を請求された。
対策:初めての旅行者は、航空券と1泊目の宿泊、空港からホテルまでの送迎をセットにしたプランを選ぶなど、多少値が張っても安心を優先させてください。

②『「窓口は 今日は休み」は 嘘ですよ』
駅で:ニューデリー駅にて、2階の外国人専用窓口に向かっていると、「今日は休みだ」と教えてくれたインド人に別の旅行会社へ連れて行かれ、法外な手数料を請求された。
対策:一見親切そうなインド人にも要注意。駅員の制服を着た男性に「このチケットでは乗れない」と言われ、新たなチケットを買えと請求された事例も。客引きをする旅行会社は初めから疑ってください。

③『従業員 絶対部屋に 入れないで』
ホテルで:従業員が理由をつけて部屋に来てはチップをねだったり、ドアを何度もノックされたりした。
対策:チェーンロックがないホテルも多いので、ドア越しに要件を確認し、絶対部屋に入れないように。ほとんどはチップが目当てですが、特に女性は用心して対応してください。

④『カードでの 会計時には 要注意』
店で:買い物の支払い時、クレジットカードで支払おうとしたら、金額欄に細工をされたり、目を離した隙にコピーされたり、店員に騙された。
対策:インドでは日本人観光客をターゲットにした詐欺まがいの店が多く、その手口も巧妙。クレジットカードを使用する際には片時も目を離さず、単位や通貨までしっかり確認を。

⑤『食べ物を 勧められても 食べちゃダメ!』
街中で:電車での移動中に、親しくなったインド人に勧められた飲食物を口にしたら気を失った。睡眠薬が入れられており、目覚めた時は身ぐるみ剥がされ、知らない場所にいた。
対策:見知らぬ人に勧められた物は絶対口にしない。しつこく勧める人は要注意。自分の飲み水に睡眠薬を入れられる場合もあるので目を離さないで。

⑥『インドでは 日本人女性が 狙われる』
街中で:街でナンパされたインド人に滞在先を教えたら、何度も電話をかけてきて、ホテルに来られた。
対策:カースト制の影響などにより、自由な恋愛が難しいインドでは、外国人、特に日本人女性はナンパのターゲットにされやすい。曖昧な態度を取ると誤解を招く恐れもあるので、嫌な場合は毅然とした態度で断るように。

⑦『客引きが しつこい時は ボッタクリ』
移動時に:客引きするリクシャーやタクシーに、目的地とは違うところへ連れて行かれ、ボッタクられた。
対策:運転手とお土産屋や、旅行会社、ホテル、さらには警察官までもが共謀して観光客をだます手口も見られます。連れて行かれた先で、宝石や絨毯の運び屋を頼まれる詐欺事件も。プリペイドタクシーなら運転手が割り出せ、犯罪発生率も比較的低い。

⑧『支払い時 少額だって 気にかけて』
移動時に:タクシーの支払い時にRs.500札で支払ったにもかかわらず、隠していたRs.100札を見せて「足りない」という態度を見せ、ごまかそうとしてきた。
対策:払い直してしまえば相手の思うツボ。ささやかな金額であっても、手渡す際に目視で確認し、金額を声に出しながら相手に支払おう。
(昭文社 まっぷるより抜粋)

明日は最後の観光地、アーグラー城です。

つづく…。

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Vol.59 コラム ちびっとインド情報【アーグラー(Agra)観光】

Vol.59 コラム ちびっとインド情報【アーグラー(Agra)観光】

2013年11月26日(火) 【チビっとアーグラー情報】

前回からのつづきです…

熱中症になりそうなくらい、暑い中観光したシカンドラーとメヘターブバーグ情報です。

こちらはアーグラー観光のメインではありませんが、プチ情報として、ん〜どうでしょう!?

★シカンドラー

アーグラー中心部からマトゥラー方向へ9kmほどのところにある、ムガル帝国の第3代皇帝アクバル帝のお墓です。

ムガル帝国に隆盛期をもたらしたアクバル帝の生前の希望で着工され、息子のジャハーンギールがアクバル帝が亡
くなって8年後の1613年に完成させました。

アクバル帝は、後に世界遺産にも登録される、アーグラー城を建てた人物です。

インド全土を支配し、絶頂期を迎えたムガル帝国。

アーグラー城はその権力と繁栄の象徴でした。

アクバルというのは、イスラムの人たちが、「アラー、アクバル!」(アラーは偉大なり!)と唱える、あの「アクバル」です。

文字通り、アクバルは「偉大な王」だったんですね。

他宗教に寛容であったアクバル帝は、イスラム教だけでなく他の数ある宗教を認め、それらの融合を図ったと言われています。

イスラム建築の中にヒンドゥー建築の影響を取り入れたこのアクバル廟は、まさにアクバル帝を象徴するような建物なのかもしれません。

★メヘターブバーグ

ヤムナー川を挟んでタージマハルの対岸にあるイギリス式庭園です。

ムガル帝国第5代シャージャハーンが、最愛の妻の死を悼んで造らせたタージマハル。

そしてヤムナー川の対岸に自らの墓として計画していた黒いタージ。

シャージャハーン帝はヤムナー川に橋を渡して、皇妃と永遠に結ばれることを夢見ていたといわれています。

しかし、妻のタージマハルの建築に莫大な予算をつぎ込み国家財政を逼迫させてしまったため、結局計画は頓挫、黒いタージは幻に終わりました。

シャージャハーン帝って、なんて一途でロマンチスト!

その黒いタージを予定していたといわれる場所だけあって、ここから眺める夕日に染まるタージマハルは格別だそうです。

観光するなら夕方過ぎに行きましょうね!

しかしインドの灼熱の太陽はハンパない!
暑過ぎてランチしながら休憩です。
ところが姉さん!またまた事件です!(^^;;

つづく…。

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Vol.53 コラム 【ボランティア活動の意義って!?】

Vol.53 コラム 【ボランティア活動の意義って!?】

2013年11月20日(水) 【ボランティア活動の意義って!?】

前回からのつづきです…

スラムの子供からプレゼントされた一粒のチョコ。

この体験をきっかけに、ボランティア活動って一体何なのか、帰国してからもう一度考えてみました。

★ボランティア活動の意義

ボランティアとは、もともと『志願者』『有志者』という意味を持つ言葉です。

誰もが、個人の自発的な自由意思に基づいて行われる活動であって、自分でできることを周囲と協力しながら、無償で行う活動のことをいいます。

『誰かのために何かをしてあげたい』という純粋な気持ちを大切にした活動ですね。

ボランティア活動の目的は、社会問題や課題の解決に対して、自分自身が『自発的・主体的に』その問題を解決していこうとするものです。

ですので、人から命令されて行うものではないですし、強要されて行うものでもないです。
人の評価が活動に影響を与えることもありません。
活動することを決めるのは、本人の自由意思によってなされるものでなければならないからです。

またボランティアは、決して『~してあげる』活動ではありません。

受け手側から見て支援する側は、この地球に共に暮らす仲間であり『協力者』です。
友達のような視点でお手伝いする気持ちが大事です。
感傷や哀れみの気持ちは禁物なんですね。

ボランティア活動の報酬とは、自分の『満足感』や、人とかかわることによって得られる『人間関係』です。

ボランティアの体験は、支援する側の自分の心を豊かにしていきます。

支援を必要としている世界の人たちが、自分の活動によって明日への希望を持てたのだとしたら、自分自身の心をも満たす素晴らしい経験にもつながっていくのですね。

現在、多くの方々が様々な活動に従事しています。
若い世代だけでなく、社会の高齢化に伴い、長い人生をより有意義なものにしたいと、ボランティア活動に関心を寄せるシニア世代も急増しています。

自分の感情を刺激されることによって、『自発的・主体的に』行うのがボランティア活動です。

受け手側の心に何かしらの幸福感をもたらすのであれば、やらないよりはやった方が絶対にいいのです。

結論として、ボランティア活動は支援した受け手側が「良かった!」「嬉しい!」と思ってくれる、それだけでいいのだと。

反対に自分が善意の押し売りをして、ただの自己満足になってはいけないのだと。

相手から感謝の行為をもらえたのなら、そこに込められた気持ちをありがたくいただけばいいのだと。

机上で得た知識は、確かに役立つ時もあります。

しかし、日々起こってくる問題を実際に解決へと導くものに、己の体験に勝るものはありません。

『百聞は一見に如かず』です。

私自身が目指しているのは、自分が少しでも『厚みのある人間』に近づくこと。

スラムの子供がくれた一粒のチョコは、自分の目標に近づくための貴重なヒントを与えてくれたような気がします。

明日は実際にボランティア活動をしている、ネルーさんから聞いたスラムの現状を投稿します。

つづく…。

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Vol.44 コラム ちびっとインド情報【インドのメトロ(地下鉄)】

Vol.44 コラム ちびっとインド情報【インドのメトロ(地下鉄)】

2013年11月14日(木) 【インドのメトロ(地下鉄)】

今回スラム街へ行くのに利用した、インドのメトロ(地下鉄)。

実はこのインドのメトロと日本には、非常に深い関係がありました。

多くの日本の技術や文化が、メトロ建設に関わっていたこと。
日本人として、ちょっと嬉しくなる事実です。

せっかく乗車したのに、知らなかった自分が恥ずかしい!(>_<)

なので、今日は皆さんにもチビっとメトロ情報です。

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★インドのメトロ(地下鉄)とは?
デリー市内の移動手段は種類が豊富ですが、その中でも道路の混雑の激しいインドでは電車の存在は重要です。
旅行者にとって1番使いやすいのがメトロで、現在6路線が走っています。
各路線は色分けされていて、「レッドライン」「ブルーライン」「イエローライン」など、色の名前で呼ばれています。
朝夕の通勤時間帯は、日本のラッシュ時よりも混雑しているので、この時間の乗車は避けた方が無難です。

★メトロの乗り方
まず駅の構内に入る前に、荷物のX線検査とボディチェックがあります。
時間に余裕をもって駅に行かないと、思いのほか乗車までに時間がかかってしまうこともあるので、急いでいる方は要注意!

窓口で目的地までの切符を購入します。
この切符には、トークンと呼ばれる1回限りのコイン型乗車券と、チャージタイプのメトロカードがあるので、乗車頻度に合わせて選べます。
トークンの料金は、距離に応じて8〜30ルピー(約16円~60円)。
改札はタッチ式で、降車の際はトークンを改札機に投入します。

★メトロ開通の歴史
約1,700万人の人口を抱えるインドの首都デリー。
経済成長により都市化が進み、自家用車が急速に普及したため、道路の慢性的な渋滞と、車の排気ガスによる大気汚染が問題となっていました。
そこでインド政府が打ち出したのが、「デリー地下鉄建設計画」です。
デリーの都市交通政策・都市環境問題対策の柱として計画されたこのプロジェクトを、JICAは計画段階の1995年から16年間にわたり支援してきました。
※JICA:独立行政法人国際協力機構

そして2006年11月に全線開通したフェーズ1に続き、2011年8月27日、ついにフェーズ2全線開通の日を迎えました。
全線開通により、デリー地下鉄の総延長距離は190kmとなり、東京メトロ(195km)と同規模の地下鉄ネットワークとなりました。
一部区間が開通した2002年12月からの延べ乗車人数はインドの全人口12億人を上回り、今日では一日あたり乗車人数が約180万人に達するなど、デリー地下鉄は市民の足として定着しています。
デリー中心部とインディラ・ガンディー国際空港や郊外の新興地域グルガオンも結ばれ、デリー市内の移動手段としてのみならず、海外への出入り口としての役割も担うこととなり、今後さらに利用者が増加することが見込まれています。

★日本の技術をいかした官民一体の協力
この巨大プロジェクトは、デリー中心部をカバーするフェーズ1と、デリーから周辺部への延伸路線のフェーズ2に分けて実施され、総事業費約6,667億円のうち、JICAは約3,748億円の円借款を供与しました。
JICAの協力は資金面だけではありません。
安全運行や車両維持管理に関する能力を向上させるため、東京メトロを運行する東京地下鉄(株)、メトロ車両(株)の協力のもと、デリー地下鉄を運行するデリー地下鉄公社への技術支援を行いました。
また現地NGOと協力して現場作業員に対するHIV/エイズ予防の啓発活動を実施し、労働環境や社会的認識の改善も図っています。
デリー地下鉄の車両には日本の省エネ技術が埋め込まれています。
三菱電機(株)が導入した「電力回生ブレーキシステム」です。
電力回生ブレーキシステムとは、地下鉄車両のモーターをブレーキ作動時に発電機として利用することにより、列車の運動エネルギーを電力に変換する技術です。
ここで発電された電力は架線に送られ、地下鉄の走行に必要な電力として再利用されます。
これにより通常の車両を用いた場合に比べ約3割も電力を節約することができます。
この技術により、デリー地下鉄は鉄道分野では世界初のCDM(Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム)事業として国連に登録されました。

また、工事現場での安全対策を強化するため、日本の新技術も導入されました。
神戸大学が開発した「On Site Visualization(OSV)」システムです。
OSVは「現場の安全管理の見える化」技術とも呼ばれ、地盤や構造物に変位が生じた場合、光センサーの色が変化して崩落の危険を示す、いわば工事現場の危険度を知らせる「信号機」のような役割を果たすものです。
デリー地下鉄公社の現場監督は、「これまでデリー交通公社が行ってきた安全対策とは異なり、日本の新しい技術を活用しているため、現場の作業員が高い関心をもってくれている。新たな試みが作業員の安全に対する意識に刺激を与えた」と話しています。

★日本の文化を輸出
デリー地下鉄の建設には、日本のコンサルタント会社や建設会社が参加し、日本の経験が大いにいかされています。
これまでのインドの工事現場には、一般道と工事現場の仕切りもなく、ヘルメットや安全靴を着用する習慣もありませんでしたが、プロジェクトを通じて、工事区域をフェンスで囲み、ヘルメットや安全靴の着用を義務付け、工事現場内の資機材を常に整理整頓するなど、日本の工事現場では当たり前の「安全」の意識が定着しました。
現在デリーにおける工事現場のほとんどがフェンスで囲まれているのも、このプロジェクトがもたらした成果の一つであるといえます。
また、プロジェクト開始直後は業務開始時間になっても集まらなかった作業員に、毎朝決められた時間に集合することを徹底し、定められた工期を守るという「納期」の重要性を浸透させました。

工事現場以外でもインドの文化への影響がみられます。
これまでのインドでは、所得や階層の高い市民は公共交通機関を敬遠する傾向にありました。
そのためデリー地下鉄開通前のデリー市では市民の交通手段が所得水準や階層により分断されていたのです。
そこでデリー地下鉄公社は地下鉄内でのごみ廃棄禁止ルールを徹底し、「クリーン」なイメージを確立することで、所得や階層にかかわらず地下鉄を市民が利用するようになりました。
また駅には整列乗車を促すためのラインが引かれ、駅員が乗客の整理を行うなど、「並ぶ」という習慣のなかったインドに大きな変化をもたらしています。

日印協力の輝ける成功例と称されるこのプロジェクトは、日本の協力がインドに文化的な革新を起こしたとして非常に高く評価されています。
デリーの中心に位置するCentral Secretariat駅には、日本の援助により建設されたことを示す大きなプレートが設置されており、デリー市民や旅行客の目に「日本」の文字が日々触れています。
計画中のフェーズ3(さらなるネットワーク化のために環状線を建設するもの)についても、インド政府より円借款支援の要望を受けております。
(JICA 独立行政法人国際協力機構ホームページより抜粋)

なお、11月3日、平成25年秋の外国人叙勲が発表され、インド・デリー高速輸送システム建設事業の実施機関であるデリーメトロ公社前総裁のE.スリダラン氏(現・同公社相談役)が旭日重光章を受章しました。
11月6日に皇居宮殿で執り行われた旭日重光章伝達式では、安倍首相からスリダラン氏へ勲章および勲記が直接手渡され、その後、天皇皇后両陛下への拝謁も行われました。
http://www.jica.go.jp/mobile/press/2013/20131107_02.html

日本の技術や文化がこうした取り組みによって、世界に広まっていくことは日本人としての誇りであり、非常に嬉しいことです!

車やバイクの交通ルールはムチャクチャなのに、電車のホームではキチンと並ぶ(笑)

そんな不思議な世界を見られるのがインドです(^^)

明日は、スラムの学校で学ぶ子供たちのレポートです。
ここでも衝撃の出会いがありました!

つづく…。

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Vol.35 コラム ちびっとチベット情報【AVAAZ 100万人の署名で世界を変える!】

Vol.35 コラム ちびっとチベット情報【AVAAZ 100万人の署名で世界を変える!】

2013年11月5日(火) 【avaaz】

Avaazは世界の人々の観点または価値観によってグローバルな意思決定がなされるようにすることを目的とし、世界中のさまざまな問題に対して積極的に活動を行うグローバル オンライン コミュニティです。

★オンライン署名のお願いavaaz

全世界で100万人の署名を集めます。国際社会へチベット問題を投げかけましょう!

(avaaz全文)
中国国旗の掲揚を拒否したチベット族の人々は、暴行を受けたり、銃で撃たれたりするなどの暴力にさらされる恐れがあります。中国政府は、彼らの抗議の意志をくじこうとしているのです。しかし今こそ、誇り高く、しかし絶望的な状況にあるチベット族の人々に希望をもたらす時です。

中国の指導部はチベット族に対する人権侵害を隠ぺいし、国連人権理事会の理事国選挙において、中国に投票するよう各国政府に働きかける強力なキャンペーンを展開しています。古代から続く宗教への弾圧、ジャーナリストの活動の禁止、不当な逮捕など — チベットで今何が起きているのか、私たちは注目の光を照らし、理事国に選出されるため97カ国の票を必要としている中国政府に、強硬路線を変更するよう圧力をかけることができます。

「世界はチベットを忘れない」と伝えましょう。すでに13カ国の政府がチベットにおける人権状況について中国を非難し、中国も国際社会の圧力を感じ始めています。チベットの人々を支援するため、署名にご協力お願いします。また、このキャンペーンをできるだけ多くの方々に広めて頂くようお願いします。100万人分の署名が集まりましたら、Avaazは国連加盟国代表に届け、メディアにもこの件について報道するよう働きかけてまいります:

https://secure.avaaz.org/jp/stand_with_tibet_loc/?tRbIqcb

中国に対する圧力は高まりつつあります。カナダ、チェコ共和国、フランス、ドイツ、日本、ニュージーランド、ポーランド、米国、英国、スイス、スウェーデン、アイスランド、オーストリアがチベットにおける集会、宗教、結社の自由を保護するよう中国に呼びかけ、かつてないほど力強いチベットへの支持を表明しています。中国に対するこの呼び掛けが出される数日前には、スペインの裁判所がチベットで行われた虐殺について、中国の前国家主席の責任を問う審理を始めることを決定しています!

チベットの状況は悲惨です。.中国政府の占領や弾圧に抗議するため、これまでに120名以上もの人々が自らの体に火を付け焼身自殺しました。さらに、数十万ものチベット族の人々が虐殺または行方不明となっています。現行の中国の政策は、組織的にチベットの言語を消滅させ、人々を彼らの土地から追い出し、チベットにおける抗議運動や宗教を厳しく規制しています。

中国の弾圧政策は失敗に終わり、自国にも不利益をもたらしていますが、ここまで長く続けた以上自ら政策を変更するのは難しく、中国が方針を転換するためには外からの圧力が必要となるでしょう。今週こそ、変化を起こす時です。各国政府がチベットの現状について調査する中、私たちが声を大にして訴えれば、「世界はチベットを忘れない」と各国政府に伝えることができます。今すぐご署名、キャンペーンの拡散にご協力お願いします — チベットのためにかつてないほどの署名を集め、中国政府の責任を追及してまいりましょう。

https://secure.avaaz.org/jp/stand_with_tibet_loc/?tRbIqcb

誇り高いチベット族の人々は、中国の残忍な統治に抵抗し続け、変化を待ち望んできました。しかし、彼らだけで変化を起こすことはできません。助けも借りずに、このような規模の変化を起こすことは誰にとっても不可能でしょう。

だからこそ、私たちはこれまでにもチベットのために団結してきたのです。さあ、世界中がチベット族の存続のために取り組む、そんな時にしてまいりましょう。

私たちAvaazコミュニティはまさに、このような時のために存在するのです。

希望をこめて

ベン、アリス、パトリシア、アレックス、リッケン、エミリー、サイーダ、およびAvaazチーム一同

関連情報

国連人権理事会で欧米が中国の人権問題を指摘、中国は反論 (ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99M04A20131023

少数民族保護など要求 国連人権理で対中国調査 (産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131022/chn13102221060011-n1.htm

胡前首席が「虐殺」と訴え スペインでチベット族団体 (産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131011/chn13101123310007-n1.htm

中国:国連人権理事会の理事国に立候補 (ヒューマンライツウォッチ)
http://www.hrw.org/ja/news/2013/10/08-1

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Vol.32 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺③】

Vol.32 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺③】1
2013年11月3日(日) 【閲覧注意!焼身自殺③】

前回、前々回はかなり衝撃的で、過激な描写を含んだ投稿でした。

読んで不快な思いをする方がいらっしゃったかもしれません。

私自身、投稿することすらためらいましたが、今回インドを旅を体験して学んだ事実は事実として、お伝えすることにしました。

かなりの長文になりますが、同じ地球人としてちょっと考えるきっかけとなり、関心を持っていただける方が一人でも多くなれば嬉しいです。

※このテーマの最終回です。

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前回からの続きです…

★なぜチベット問題を取り上げないのか。

Vol.32 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺③】2

チベットのダライ・ラマ法王がインドに亡命して、すでに50年以上が経過しています。

その間ノーベル平和賞も受賞した程の偉大な方が、精力的に国際社会に対しチベット問題を訴え続けてきました。

しかし、今もなおチベット人の焼身自殺は止むことがありません。

人間の行動は、『思いの強さ』に比例しています。

チベット人にとっての焼身自殺は、命を断つことが目的ではなく、何かを伝えるための手段です。

そこにあるのは
『チベット人を取り巻く環境には、まだまだ世界に知られていない事実があり、そこに至った事実を世界中の多くの人に知ってほしい』
という共通のメッセージに他なりません。

言葉、手紙、電話、メール、動画、
Facebook等のSNSなどは、私たちが当たり前に使っているメッセージの伝達手段です。

私たちはこれらを駆使して、何か強い思いを伝えたい時には、自由に情報発信することができます。

しかし本土のチベット人の人々は、中国政府の厳しい監視によって、こうした手段を使えない環境の中で生きています。

また、せっかく発信された現地の情報も、普段生活している私たちには、大手マスコミからはなかなか届きません。

みなさん「日中記者交換協定」というのをご存知でしょうか。

実はかつて、日本と中国の間には「日中記者交換協定」という協定がありました。

この協定のために日本のマスコミは、中国が不利になる情報は報道ができなかったのです。

1972年の日中国交正常化で形式的には廃止されてはいますが、実質上はまだ残っているような状態です。

そうでなければ、チベット人の焼身自殺に関して、日本のマスコミはもっと大々的に報道して、海外のようにもっとチベット問題を取り上げてもいいはずです。

中国と日本の間には、私たちの知らない『大人の事情』という、何か大きな力が働いている。
そう思わざるを得ません。

★今の私たちにできること

チベット本土ではチベット人に対する十分な教育が行われていません。

幼い子供を持つチベット人の親は、子供が無事たどり着けるかもわからない危険なヒマラヤ越えをさせてまでも、子供をインドに亡命させています。

二度と会えないかもしれないと思いながらも、子供に未来を託し、送り出さなければならない親としての立場。

最低限の教育すら満足に受けられない社会的弱者には、明るい未来はやってこないのです。

今回こうした事実を知るきっかけになったレインボーチルドレンの活動。

レインボーチルドレンは、貧困•環境等の理由で生まれ持った輝きを活かせない、世界の子供たちを支援する団体です。

その第一弾であるチベットプロジェクト。

その活動を通してわかってきた事実。

なぜチベットの子供たちは、支援を受けざるを得ない状況になっているのか。

その原因には、一人の力ではどうにもならない、大きな大きな問題が横たわっていました。

チベットには、苦しみながら必死で今を生きる人たちがいて、自分たちの置かれた環境を身をもって伝えようとする人がいることを、今回の旅が教えてくれました。

幸いにも私たち日本人は、日本国憲法で『思想•信教の自由』や『学問の自由』を与えられています。

どんな思想を持ってもいいし、良心(善悪を判断する意識)も自由です。
信仰する自由や信仰を変える自由、信仰を強制されない自由も持っています。

学校で研究や講義など学問的な活動において、学んだり発表したりすることも自由です。

人間が人間として人間らしく生きること。

そんな基本的人権すら与えられずに、生きていかなければならない環境がチベットには存在しています。

今やインターネットの普及によって、世界のあらゆる情報を集めることができるようになりました。

また、大手マスメディアに頼ることなく、一個人が多くの人に情報を発信し、伝えることができる時代でもあります。

基本的人権として『表現の自由』を与えられている私たちは、思ったこと感じたことは、自由に表現できる時代に今生きています。

もし仮に、当事者である中国とチベットを除いた全ての国の人々全員が、このチベット問題を声を大にして世界中に情報発信した時、この問題は解決に向かって大きく前進するのではないでしょうか。

こうしてFacebookやブログ等でこの問題を取り上げることで、一人でも多くの人が関心を持ってくれることが、今自らの身体に火をつけようとする人の命を救うことにつながると思っています。

焼身自殺までしてメッセージを伝えようとするチベット人の代わりに、私たちが情報を世界に発信していくことはできませんか?

たった一匹のアリが巨大な象に立ち向かっても、踏み潰されて終わります。

でも、そのアリが数万、数十万、数百万と集まったら…象をも倒せるかも知れない。

『出来ないのか、やらないだけなのか』

手軽に情報を発信できる環境で、世界トップクラスの安全な国に生まれた私たちだからこそ、やらなければならないことがあるのではないかと、思わざるを得ません。

チベットの慟哭 なぜ報道しない!(12分6秒の動画)
http://www.youtube.com/watch?v=hDT4Mwz91ZI&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DhDT4Mwz91ZI

つづく…。

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Vol.31 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺②】

Vol.31 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺②】

2013年11月2日(土) 【閲覧注意!焼身自殺②】

今回もかなり衝撃的で、過激な描写も含まれた、しかし真面目な投稿です。

投稿を見て、不快な思いをする方がいらっしゃるかもしれません。

私自身、投稿することをためらいましたが、今回インドの旅を体験してわかったこと、学んだ事実は事実として、お伝えすることにしました。

かなりの長文になりますが、同じ地球人としてちょっと考えるきっかけとなり、関心を持っていただける方が一人でも多くなれば嬉しいです。

※今回のテーマは、3回に分けて投稿しています。

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前回からの続きです…

★なぜチベット人の焼身自殺が後を絶たないのか。『民族浄化』とは?

今チベットでは、中国共産党(中共)に抵抗する僧侶の焼身自殺が相次いでいます。

独自の自治、政治的、文化的な自治権が認められるはずだったのに、中共はその約束を破り、チベットを「侵略」していきました。

中共に侵略されたチベットでは、言語や民族文化を抹殺され、宗教も迫害を受けて、多くの人々が謂われのない拷問を受けたり虐殺されたりしています。

私はインドから帰国して、自分なりに焼身自殺に至る動機やその背景に関する情報を、いろいろと調べてみました。

焼身自殺をする方々には様々な環境、それぞれの立場、それぞれの思惑があるので、自らの命を断つに至った原因は一概にこれだ!と現状では結論付けることができません。

焼身自殺が起こる背景や根拠は何なのか、判断するにはあまりにもチベット本土からの情報が少な過ぎるという現実の壁があります。

今チベット本土で暮らす人々の現状は、中国政府の情報規制によって、残念ながら細かな情報が入ってきません。

入手する情報の多くは、規制されながらも海外メディアが持ち帰ってきた数少ない情報や、ヒマラヤ山脈を越え亡命してきたチベット難民から集められた情報に頼らざるを得ません。

You Tubeなどの訴求効果の高い動画によって、現地の人から直接様子が伝えられれば、もっと核心に迫ることができるでしょう。

しかし、中国では世界中で共有できるYou Tubeが視聴できません。
中国政府によって情報規制されているからです。
中国政府はチベットに関する情報流出には、ものすごく神経を尖らせています。

「北朝鮮の平壌ですら海外メディアの姿はあるが、チベットの首都ラサには海外メディアがいない」と国境なき記者団も述べています。

また、チベットの首都ラサの現状を目にしたある中国人学者は、
「チベット人よりも、中国人のほうが多い」
「僧侶よりも、警察官のほうが多い」
「窓よりも、監視カメラのほうが多い」
と語っています。
全域が、布告なしの戒厳令下にあるのです。

中国政府は焼身事件を隠そうとしています。
焼身自殺を計画しているチベット人に関する情報提供者には、賞金5万円、最近発生した焼身自殺に関する詳しい情報提供者には、賞金20万円を支給すると発表しています。

こうした情報がむやみに出回らない風潮があると、タダで情報を漏らす人もなかなかいません。

また中国政府のスパイが聞き回っているという情報もあります。

焼身自殺について海外メディアが現地のチベット人にコメントを求めても、みな口をつぐみます。

そこで、わかっている過去の事実を整理しながらもう一度、現在に至るまでの中国におけるチベット問題の歴史を紐解いてみます。

★チベット問題の歴史

Vol.31 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺②】2

1950年10月、中国共産党の人民解放軍によるチベットへの「侵略」が始まりました。

大量の解放軍の進駐で、「餓死」という言葉すらなかったチベットは、歴史上初めての食糧危機に見舞われます。

さらに中共は宗教国チベットから宗教を消し去ろうと、様々な圧政を加えました。

多くの寺院が砲撃され、数千人の民衆が虐殺されます。

インドに亡命したダライ・ラマ法王を追って多くの難民がインドに向かいますが、ほとんどは中国軍に捕まり強姦•殺害されたり、途中で飢えと寒さと病に倒れていきます。

1959年3月、チベット人の抵抗運動は全国的に拡大し、首都ラサで民衆がノルブリンカ宮殿を取り囲み最大級のデモを行いました。

「ラサ決起」です。

それに対し中国軍は「血塗られた金曜日」と呼ばれる大弾圧を始めます。

『宮殿への集中砲火は41時間続き、その後砲撃は4日間におよび、宮殿は破壊されつくし、何万人という民衆が殺された。

•ある者は後頭部を銃で撃ち抜かれ、脳みそが飛び散った。中国人たちは「花が咲いたようだ」と言った。

•ある者は「立ったままの姿勢がいいか?横になったままがいいか?」と生き埋めになる姿勢を聞かれた。

•ある者は穴に泥が押し込まれ、顔から眼球が飛び出すと、中国人はその眼球を切り取った。

•多くのチベット人が投獄され、残酷な扱いに耐えかね、自殺者は9千人にも上った。

•残った者も強制労働収容所に入れられ、「反乱反対」の学習を強制された。

•僧侶たちは首を絞める重りに仏像が使われて虐殺されたり、「奇跡が起こせるなら飛んで見せろ」と高所から蹴り落とされ虐殺された。

•民衆の尊敬を受ける僧侶は、糞を食べたり小便を飲んだりするよう強制され、人々はその光景を見るよう強要された。

中国共産党は徹底的に宗教を弾圧し、4500あったチベットの寺の99%を破壊。
現在残っているのは、中国の発表でも45しかない。

7000あった僧院も9割以上が破壊され、15万人いた僧侶も中国の発表でもわずか1400人程度となっている。

もちろん今でもチベットの監獄•収容所では、凄まじい拷問が行われている。

最も一般的な拷問用具は「電気棒」である。

直径0.5インチと2.5インチの2種類があり、5万ボルトもの電流が流される。

これを口に突っ込むと、口が爆発したように感じ、瞬時に気絶する。

最もおぞましい使い方は、これを尼僧を含む女性の膣内に突っ込むのである。

他にも独房監禁、ゴム管を使っての囚人の口への放尿、血液体液の強制抽出、雪の中への裸での放置、看守たちによるレイプなどが行われている。

多くの尼僧たちや子供たちまでが、平和的なデモに参加しただけで投獄され、拷問にさらされたり、殺されたり、行方不明になったりしている状況が、今もチベットで続いている。

このような環境から抜け出すため、凍傷や凍死の危険を冒して、ヒマラヤ山脈を越えて亡命するものは後を絶たない。

数限りない残虐行為の末、中共が最終的に目指しているのは、チベット人を地球上から抹殺すること。
つまり「民族浄化」である。

★民族浄化

中国人医師によって、奇妙な手術を受けたという報告が数多くある。
いずれもその手術の後は、性的欲望が一切なくなってしまったという、断種の手術とみられる。

次世代を担う子供たちは、15歳位から乳児まで数千の子供が親元から引き離されて中国に連れ去られ、そして1人も帰って来なかった。

更に中国政府はチベット移住を奨励した。

囚人もチベットに移住するなら釈放された。
中国人はチベットを人口爆発のはけ口として使い、今ではチベット人が600万程度に対し、中国人は750万と人口が逆転し、混血も進められている。

チベット人の子供には、チベット語の名前を命名することも許されなかった時期もあり、学校ではチベット語の授業は制限され、チベットの文化的•民族的価値観は教えられず、共産主義イデオロギー教育が行われている。

愚民化政策で12歳以上の文盲率は、中国側の発表でも男子61.39%、女子87.22%と異常に高い。

中国人によりもたらされた虐殺•餓死などによるチベット人の死者は128万人。

チベット人口の5分の1以上である。』
※小林よしのり『新ゴーマニズム宣言〜見ぬふりされてるチベットでの民族浄化〜』より一部抜粋

 

1990年以降、経済開発を名目に中共は、チベット地区へ中国人を大量入植させました。

チベットは中国領土の4分の1を占め、アジアの水源地でもあり、最大級のウラン産出地帯です。

また、中央チベット•西チベットには、豊かな鉱山資源やレアアースなど希少価値の高い天然資源が眠っています。

中国はそれらを喉から手が出るほど欲しがっているのです。

中国はチベットの社会や文化を薄め、中華式社会を確立させ、自国の発展につなげようと試みています。

この中国による強制的なチベット文化の抑制、破壊、根絶プログラムに抵抗する抗議の一つが焼身自殺です。

領土拡大に伴う侵略行為、『民族浄化』というキーワードが、焼身自殺が止まらない一つの原因だと私は思っています。

デモをすれば警察の発砲を受け、逮捕されれば死ぬほど拷問を受ける。いずれ命を落とすのなら、と究極的抗議のため焼身を選ぶ人がいるのです。

現在も続いている『民族浄化』を国際連合は議題にすら上らせることはありません。

国連では拒否権を持つ5ヶ国の常任理事国がありますが、中国はそのうちの一つだからです。
外交問題も複雑に絡み合ってきます。

また中国の人口は13億人で世界一。中国と貿易をおこなっている世界の国々にとっては、自国に利益をもたらす魅力的で巨大なマーケットでもあります。

それぞれの国の思惑、一個人としての立場によって、様々な考え方や意見があると思います。

しかし、強烈なメッセージを訴えながら自らの命を断ち、もっとも悲惨な状態で、もがき苦しみ抜きながら亡くなっていった人がいることだけは、確かな事実です。

人の命は地球よりも重いはずです。

大事な一つの命を無駄にしないためにも、焼身自殺という行動の裏に隠されたメッセージを、私たちは感じ取る意識を持たなければいけないのではないでしょうか。

【チベット問題】天台宗僧侶、大樹玄承 執事長の涙ながらの声明【生放送】(9分8秒の動画)
http://www.youtube.com/watch?v=jzAWOmYpoLc&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DjzAWOmYpoLc

つづく…。

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Vol.30 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺①】

Vol.30 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺①】1

2013年11月1日(金) 【閲覧注意!焼身自殺①】

今回はかなり衝撃的で、過激な描写も含まれた、しかし真面目な投稿です。

投稿を見て、不快な思いをする方がいらっしゃるかもしれません。

私自身、投稿することをためらいましたが、今回インドの旅を体験してわかったこと、学んだ事実は事実として、お伝えすることにしました。

かなりの長文になりますが、同じ地球人としてちょっと考えるきっかけとなり、関心を持っていただける方が一人でも多くなれば嬉しいです。

※今回のテーマは、3回に分けて投稿します。

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前回からの続きです…

朝からチベット寺院の見学。
この建物の奥にはダライ・ラマ法王の公邸がある。

寺院の入り口には、たくさんの方々の顔写真入りの垂れ幕。

Vol.30 コラム ちびっとチベット情報【閲覧注意!焼身自殺①】2

「ん!?これは偉い僧侶の方々なんかな?」

よく見ると顔写真それぞれに日付が入っている。

そして上部には「SACRIFICE OF LIFE FOR TIBET」の文字。

実はこの写真の方々は、中国本土で焼身自殺をはかって亡くなっていった方々。

本土において、チベット人への中国からの弾圧に対する抵抗策と言われている、焼身自殺。

その数すでに100人以上。

焼身自殺によって亡くなった、これだけ多くのチベット人を目の当たりにした瞬間、言葉を失ってしまった。

チベット仏教では自殺を禁じている。

しかし、その規律を破ってでもその命をもってして訴えたかった事って何なのか?

そして、身をもって何かを訴える行動に対し、日本人の自分が知っておかなければいけないこと、私たちができることって何なのか?

チベット人の焼身自殺はとどまることなく、亡くなったチベット人の顔写真は、今年に入って今もなお増え続けている。

★焼身自殺
『焼身自殺は苦しい。皮膚を100%火傷しても即死できずに病院に運ばれ、そこで半日程度もがいた後、ようやくこと切れることも多い。

死にきれなかった場合の後遺症は、他の自殺手段とは比較にならないほど悲惨だ。

ただし世間になにかを訴えるために死にたいのなら、焼身自殺ほど影響力の大きいものもない。

かつては、ベトナム戦争中に政府に反対して死んだ僧侶、韓国で同じく反政府運動として自殺した学生、日本では底辺労働者の待遇改善を訴えた釜ヶ崎共闘会議幹部と、どれも焼身自殺によって世間の注目を集めた。

たしかに炎に包まれながらメッセージを叫び続ける姿は壮絶だ。
意志の強さや死ぬ覚悟の固さをアピールするにも最適である。

火の勢いは想像以上に激しい。
点火すると、ガソリンや灯油の勢いでボボーと音がして2~3mも火柱が上がると言われる。

炎に包まれた体には激痛と灼熱感が走り、耐えきれずに地面を転げ回ることもある。

周囲は人肉の焼ける異臭に包まれる。
ここで狂乱状態になったり、ショック死してしまうこともあるが、たいてい意識は明瞭だ。

気管は熱気を吸入して熱傷を起こすが、発声も可能。
衣服が燃え尽きるとやがて火は消えてしまうが、それでもまだ自力で立っていたり、叫び続けたりすることもある。

火が消えた後、皮膚の3分の1以上が壊死すれば50%が、3分の2以上ならほぼ全例が死ぬことになるが、死ぬまでの時間はまちまち。

全身の皮膚が炭のように黒焦げになればその場で死ぬが、発見されて火を消され救急車で病院へ運ばれれば、そこで身動きもできずに苦痛を味わいつつ死を迎えることになる。

半日から24時間、あるいは5日や10日たってようやくこと切れる場合もある。』
※完全自殺マニュアル(鶴見 済)より抜粋

 

あえて過激な描写の記事を引用しましたが、私は焼身自殺の凄まじさを伝えることが目的ではありません。

私がお伝えしたいのは、何故彼らはただの自殺ではなく、焼身自殺をするに至ったのか、その背景、動機、根拠です。

繰り返しますが、チベット仏教では自殺を禁じています。

生きているのが辛いから死ぬというだけであれば、他の自殺の方法もあるでしょう。

しかし彼らはあえて、禁じられている焼身自殺という、最も自分が苦しむ手段を選んでいます。

何故か。

そこには『チベット人を取り巻く環境には、まだまだ世界に知られていない事実があり、その事実を多くの人に知ってほしい』というメッセージがあるからに他なりません。

彼らは苦しいから死にたいのではなく、苦しい生活の中でも本当は生き続けたかったはずです。

でもそれ以上に、何かを伝えたかったこと。

地球よりも重いと言われる人の命。

世界にたった一つしかない自分の命を使って、たった一回しか出来ない行為の裏に、彼らはどんな思いを込めて旅立っていったのでしょうか。

自らの命を絶ってでも、何かを伝えたい心境って想像できますか?

ぜひ時間のある時に、一度ゆっくり考えてみてください。

【拡散用】Free Tibet!尼僧、抗議の焼身自殺[桜H24/2/10]
(5分32秒の動画)
http://www.youtube.com/watch?v=VF0Lrrv70JQ&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DVF0Lrrv70JQ

つづく…。

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Vol.25 コラム ちびっとチベット情報【CTAとロブサン・センゲ首相】

Vol.25 (4日目)【CTAとロブサン・センゲ首相】1 Vol.25 (4日目)【CTAとロブサン・センゲ首相】2

2013年10月27日(日) 【CTAとロブサン・センゲ首相】 

昨日の中央チベット政権(CTA)と、ロブサン・センゲ首相の補足です。

★中央チベット政権
ダライ・ラマ法王のチベット亡命政権の正式名称は、「中央チベット政権 CTA (Central Tibetan Administration)」です。

CTAは、チベットにおけるチベット政府の延長として、1959年4月29日ムスーリーに設立され、1960年5月にインド北西部のダラムサラに移されました。

チベット内外のチベット人は、CTAを唯一の合法的政府としています。

2012年4月には、中央チベット政権のロブサン・センゲ首相が日本を訪問し、その際、石原東京都知事、麻生太郎、安倍晋三両元首相とも都内で会談しました。
※いずれも役職は当時のもの(ニュースポストセブンより)
http://www.news-postseven.com/archives/20120422_103797.html

また91名にも及ぶ国会議員が、センゲ首相を議員会館に招いて、「チベットの実情を聞く会」を開き、会は中国政府に「人権弾圧をただちに停止することを強く求める」という決議を全員の総意で決議して閉会しました。(JINFより)
http://jinf.jp/articles/archives/7656

なお、Rainbow Childrenの石川代表は、ほぼ1年前の2012年9月にセンゲ首相とお会いしています。(2013年2月11日のFacebook投稿より)
http://facebook.com/photo.php?fbid=142123682615515&id=139059459588604&set=pb.139059459588604.-2207520000.1382580514.&source=42&__user=100004853953998

2013年2月11日には、日経新聞がセンゲ首相のインタビュー記事を掲載しています。
※記事の内容は、写真を拡大してご覧ください(^^;;

世界各国の議会も次々と、CTAを正規の政府として認めるようになってきています。

『チベットの真の自治の確立』には、チベット人と同じDNAを持つ私たち日本人が、大きな役割を担っていくべきだと思いますね。

つづく…。

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