Be The Change Project 2018感想(かず)


 

大阪市立大学 法学部1年 中山一仁

1.このスタツアのメインテーマである日本チベット学生会議について

日本チベット学生会議では、サラ大学で様々な学校から来るチベタン学生と、そしてデリー大学の学生たちとワークショップを行いました。日本学生はサラ大学チームとデリー大学チームに分かれて、別個にワークショップを企画しておりました。私は、デリー大学チーム所属でデリー大学にてワークショップを運営する予定だったのですが、ワークショップ当日に集団食中毒にかかり、当日はホテルでずっと寝込んでいました。サラ大学のワークショップは参加できたのですが、肝心の自分たちデリーチームのワークショップに参加できなかったので心残りです。
しかしながら、サラ大学でのワークショップは本当に自分にとって刺激的でした。『平和』についてお互いの平和観や、平和の理想像のようなものについてディスカッションしました。私が、やはりここでチベット人学生達から学んだものは、“Without hurtingothers, we should change our own mind.”ということ、つまり他者を責めたり、傷つけたりするのではなく、まずは自分の心、行動を変えなければならないということです。私たちは、何か自分にとって都合の悪いことが発生すれば、ともすると他人を責め、傷つけてしまいます。しかしそこでひとまず考えてみるべきなのです。自分に責任や過失は無かったのか。そのような思考プロセスを持てば、人間関係の摩擦をなくし、あるいは最小限に抑えられることもできるのではないでしょうか?このような考え方は、チベット仏教と親和性が高い様子で、一緒にディスカッションをしたチベット人学生たちも仏教観を持っていて、信仰が厚いように見受けられました。

2.リンポチェの説法

リンポチェ(Rinpoche)という言葉は傑出した仏道修行者に与えられる尊称であります。今回のスタディーツアーの活動の中で、タムトゥクリンポチェという方に説法をしていただきました。既述の仏教観もお話になられていました。『宗教』について彼は、「ダライ・ラマ 14 世も語るように、我々一人一人の人間には異なる宗教が役に立っていて、精神的な支柱となっている。それならば宗教は共存し、尊重しあうことが良い。その個人の興味・関心にあった宗教を選べるように『宗教』は存在する。」とお話になられていました。全くその通りだと私も思いました。世界には『宗教対立』というものが未だ存在します。信じる宗教、神が違えば思想規範であったり、行動規範であったりというものは差異が生じうるものなのですが、そこで私達は、異なる宗教に対面したとしても、否定ではなく肯定の姿勢で対話に臨むべきなのだと感じました。個人的にリンポチェが語られる仏教観に深く共感致しましたので、完璧に彼の発意に沿えていないかもしれませんが、もう少し彼のお説教について記述させて頂きたいと思います。「仏教は苦しみからの解放法を教えるものであり、どうすれば幸せになれるのかを教えるものである。そして、1…体(真)、2…言葉(空)、3…心(意)の三つの行において善い行いをすることが肝要である。自分の幸せをまず実現しようとするのではない。他の者の幸せを実現しようとすることで、自分の幸せが堆積していく。」。私はこの彼の言葉を聞き、これからの日常生活に活かそうと考えました。曲解してしまっているかもしれませんが、《自分の幸せ》の実現の為に《他の者》の幸せを実現しようと邁進することを心に留めて、これを己の価値基準の一つにしていきたいと考えています。

3.スラム街にいた生徒や子供たちと出会って

現地スラムで、子供たちのいる学校へ行き、沢山の元気な子供たちに出会いました。彼らは小さい教室に 30 人程度が一緒になって授業を受けていて、私たち日本人学生に会うとまず自己紹介をして下さいました。それもオリジナル(?)ダンス付きで自己紹介をして下さりました。とても可愛かったですね。また、私たちに非常に興味を示してくださり、私にも『好きな教科は何?』だとか、『あなたの好きな食べ物は?』等などたくさん質問をして下さりました。あまり子供たちとお話をする時間がなく、その場を出発してしまったのですが沢山聞きたいことがありました。『あなたの夢はなに?』、『この学校をどう思っている?』、『もっとこうあって欲しいなということはある?』等など、もっと彼ら彼女らの内面に耳を傾けたかったです。彼ら彼女らはとてもその場所で活き活きしているように思い、だからこそ何か私たちが介入することは少し違うかなとも思いました。確かに、教員の数や、教室の環境など改善すべきところはありました。しかし、彼らにとって今の環境が思い出の学び舎であり、“故郷”でもあると感じ、そこに第三者が介入して変容せしめることはしたくないなと思いました。重ねて述べることになりますが、彼ら彼女らが何を感じ、何を思っているのかをもっと知りたかったです。

4.まとめ

食中毒になったことも含め、インド(チベット)で見た景色、出会った人々は私にとって刺激的で今後の私の生き方に強く影響を与えるものであったと思います。
レインボーチルドレンの皆様、そして資金を提供してくださった皆様、そして一緒にインドに渡った日本人学生チームの皆様、貴重な経験をさせて下さり誠に感謝し申し上げます。