スタディツアー参加者感想文(2014春)


 

第五回春スタ参加 森口和子(NPO法人おとくにパオ設立代表/京都)

(バラナシへ)バラナシへ向かうオートリキシャの旅はもう最高でした。埃はすごいけど、目の前を通り過ぎる風景という風景は、どこを切り取っても色合いといいカタチといい素敵に絵になる景色で、ビデオ持ってくれば良かったと思いながらスマホで写真と動画を撮りまくりました。バラナシの町に近づくとだんだんと、リキシャと自転車と車と人と牛と喧騒とごった返しと…いろんなもののひしめき合う街路に圧倒されつつも、これぞインド、聖なるガンガーにやってきたという思いで気持ちが高揚していきました。

(マザーベイビースクール訪問)デリーでの衝撃的で感動的なスラムの学校訪問の後で、しかも事前の予備知識がほとんどない状態(孤児院見学と聞いていた)での訪問だったこともあり、第一印象は“意外な感じ”でした。のどかな環境、細部まで気持ちのこもった手作りの建物、なんて素敵な学校じゃないか、聞くと今は孤児はいないとのこと、こんな環境の学校で学べるここの子どもたちは幸せそうだと…しかし、ガンジスの対岸のこの地域は貧困層が高く、カースト制や差別など厳しい現実の中、子どもたちの教育事情も厳しいと聞き、創設者マザーベイビーの想いとそれを実現しようと動いた日本人のことを知り、これがここに本当に必要だったこと、また継続的な支援が必要なことを改めて感じました。

子どもたちが実際に勉強している姿を見ることはできなかったけれど、多くの日本人がボランティアで汗を流し思いを一つにして建築に携わった話や、スタッフとして此処に来てそのまま3年4年居ついてしまったHIROYOさんの、さらっと話す言葉の中に見える子どもたちへの愛、どれもが暖かく、力強く、ここで子どもたちがこれからもずっと学び続けられるように、私たちのできることをしていきたいと心から思いました。

(余談ですが)日頃子どもたちとかかわる活動を続けている中で思うことは、どんな環境にいようとも、子どもにとって一番大切なことは「未来を夢見ること」であり、大人が子どものためにしなければいけないことは子どもが夢を思い描ける“今”を保障することではないかということです。「未来を夢見ること」が、「今を生きる力」になると思うからです。恵まれた環境の中で保護され育つ日本の子どもたちの中に、未来に夢を描くことができず、現実逃避してひきこもる子どもたち、狭い閉鎖された世界の中で息苦しく暮らす子どもたちを多く見ていると、瞳を輝かせていたインド、チベットの子どもたちこそが、本来の子どもの姿に思えてきます。本当にみんなきれいな目をしていましたね。

(ガンガーにて)インドといえばガンガー、生と死の混同した命蠢くところ、そして何もかもを呑み込んで過去も未来もなくただ黙々と流れる大いなる川。そこに自分がいることの不思議さと自然さ。じっと何時間でも座って眺めていたいと思う気持ちと、ここは私たちよそ者の来るべきところではないという後ろめたさ、けれどもう一度行きたいと今思う…。
なんと魅力的な国、インド!!

<He’s hand-差し出される手->

たくさんの手に出会った たくさんの手と握手した
ハロー ナマステ ハロー ハロー

小さな手 きゃしゃな手 カサカサしていて埃っぽくて
でも何の疑いも 何の媚もなく 差し出される たくさんの手
ハロー ハロー ハロー 幸せは ここにもある

ドブの臭いが立ち込め 汚水があふれる 細い迷路の 入り組んだ家々の中 路地の中
父がいて 母がいて 祖母がいて 祖父がいて
生まれがあって 死があって 恋があって 愛があって
罵り合いがあって 怒りがあって 哀しみがあって 涙があって
笑顔があって 笑い声があって 歌があって 踊りがあって
音があって 匂いがあって くらしがあって 今日があって
朝があって 夜があって
ニワトリがいて 犬がいて ニワトリがいて 犬がいて……

幸せは ここにも ある