奨学生file.13 Pema Bhuti


Pema Bhuti

第8回スタツア秋 476縮小

 Pemaは、Jamia Hamdard Universityの看護学部に通っています。

今年で2年生になる彼女は、病院での実習も増え、毎日とても忙しいそうです。

彼女曰く看護学部の学生は、学校と病院、そして家、課題のルーティーンだそうです。他の学部や大学に通う学生のように遊んでいる時間はないのだそうです。

コンベンションホール (960x720)
コンベンションホール

 そんな彼女になぜ看護師になることにしたの?と問うと、それは難しい質問だわと言われてしまいました。実は彼女、元から看護師になろうと思っていたわけではなかったようです。経営学部や他の学部を希望していたそうですが、学費が高く断念したとのことでした。そして、専門性も高く、手に職がつく看護学部を選んだそうですが、今は学んでいて楽しいし、この選択は正しかったと感じていると話していました。

グラウンド3 (960x720)
大学のグラウンドにて

 将来は、チベット人で初めての看護における博士号を取得したいそうです。チベット人社会のなかに看護の知識を広め、貢献していきたい、と夢を語ってくれました。そのためにはまだまだ勉強を続けなくてはいけないわ!と意気込んでいました。

新しく建設中の病院 (960x720)
新しく建設中の病院

 彼女の大学であるJamia Hamdardはイスラム系の大学で、多くの建物がイスラム建築に基づいていました。大きなホールや学部の建物も、細やかな細工が施されていました。

ですが、Pema曰く看護学部の設備は他の学部と比べて、あまり良くないんだそうです。講義ごとに決まった教室はなく、その時に空いている教室を使用して授業が行われているんだそう。エアコンもないため、夏場は汗だくになって勉強や実習を行っているとのことでした。看護学部の学生は、他の学部よりも高い学費を払っているのに、設備は悪いまま…とよくグチをこぼしているそうです。

看護学部前 (960x720)
看護学部前でJigme Choudonと

 彼女は、4人姉妹の3人目。ネパールのジャワラケルキャンプの出身です。同じキャンプ出身で奨学生の一人でもあるKalsangとは幼馴染です。お姉さんのリンジンは、ジャワラケルキャンプの学校で先生をしています。一番下の妹は、その学校で勉強しています。お父さんは、ジャワラケルキャンプのクラフトセンターの警備員をしていて、お母さんはクラフトセンターで働いています。ネパールで震災が起きたとき、彼女はバスで一人ネパールに帰り、家族やキャンプの人たちと一緒に復興に向けて動いていました。妹が通う学校の仮設校舎もPemaたちが木や竹などの材料を運び込んで、建てたそうなのです。

第8回スタツア秋 422縮小
アティーシャ小学校の仮設教室

 彼女がインドへ来たのは、彼女が高校2年生になるときでした。高等教育への進学を希望するのであれば、ネパールにいるより、インドに来た方がより機会が多くなるのだそうです。そのため、2年間の高校生活をインドで送っていました。チベット中央亡命政府の教育省が毎年主催するリーダーシップワークショップにも学校代表として参加したという彼女。高校生の頃から優秀な学生だったことが伺えます。

しかし、そんな彼女でも、ネパール出身であるため、IC(Identify Certificate 身分証明書)を持つことができません。直接インドにきた人やインドで生まれ育ったチベット難民の方々は、インドに住む難民であることを証明するICを取得することができ、海を渡ることもできます。しかし、ネパール出身であるというだけで、行動の自由に差が生まれてしまうのです。

1010奨学生ミーティング_8695
奨学生ミーティングでスピーチ(2015秋)

 彼女は、レインボーチルドレンとつながりの深い学生の一人。毎回の奨学生ランチミーティングでスピーチしてくれます。聡明で、優しく思いやりに溢れた彼女は、素敵な看護師さんになるんだろうなぁ、と彼女の将来の姿が見えるようです。チベットに対する想いや責任感を持つ彼女は、ただ看護師になるだけではなく、さらに学びを深めて、チベット社会に貢献していく人になることでしょう。彼女のこれからが本当に楽しみです。

 彼女とは同じ年なこともあって、音楽の話や将来の話、恋愛のことまで話すことができました。彼女の人となりをさらに知れて、私も嬉しい限りです。昼ご飯を食べるのも忘れて楽しんだガールズトークのひと時でした。

3人娘 (720x960)
3人娘 左からPema、ゆうか、Jigme