映画『ルンタ』鑑賞レポート


 

まずは、こちら予告編をご覧ください。(青文字クリック)

映画「ルンタ」予告編池谷薫監督最新作ドキュメンタリー映画「ルンタ」7月18日(土)渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開!

7/18に公開した、池谷薫監督ドキュメンタリー映画『ルンタ』を観て来ました。

『ルンタ』は中国の弾圧に苦しむチベットの人々の焼身抗議、そしてその奥にある「非暴力」のこころにフォーカスしたドキュメンタリー映画。

公開初日は立ち見が出るほどの盛況ぶりで、ぴあ映画初日満足度でも堂々1位を獲得したそうです。

http://cinema.pia.co.jp/ranking/firstday

 

わたしの観た回もほぼ満席に近く、日本のメディアではあまり実情を取り上げられることがないにも関わらず、これだけの人がチベットに関心を寄せているんだなぁというのを実感しました。

物語の前半は、レインボーチルドレンのスタディーツアーでも毎回訪れるインド、ダラムサラ。

後半はチベットへと舞台は移動します。

そして物語のナビゲーターは、ダラムサラに長年住み、専属建築家として亡命政府の庁舎や僧院、学校など、数多くの建築物の設計を手がける中原一博さん。

http://www.lung-ta.org

ダラムサラでは、実際に平和的デモ活動を行い、中国当局に拘束されたことのある方々の証言と想いを、彼らのことばで中原さんが掘り下げていきます。

数年に渡って受けた生々しい拷問についての告白とは”裏腹”に、

彼らのことばや表情には少しショックを受けるくらいでした。

劇中、国際メディアの前で多くのチベット人が殺されている事実を決死の覚悟で抗議した若い僧侶が言いました。

「怖かった、、、。」

「色んなことを考えた。死ぬ覚悟ができていたかというと、できていなかったと思います。」

それは、ひとりのあまりにも純粋な青年の素直なこころの声でした。

そのデモに参加したふたりの若い僧侶が命を落としました。

うち、ひとりは電気ショック棒を口に突っ込まれ、内臓を損傷し亡くなったそうです。

それでもそうするしか弾圧に対して抵抗を示す道は他になかった。

誰かを殺めて暴力で報復するのではなく、じぶんの命をかえりみずに訴えるという選択。

今の日本では、デモに参加したというだけで長年に渡り拘束されかつひどい拷問を受け、命を落とすのも不思議でない、、ということはまずありえません。

言論の自由とはなんなのか、あらためて考えさせられます。

 

2009年2月から2015年5月までに亡命チベット人を含め145人が焼身抗議を行い、内122人が亡くなっています。

その大半が10代後半から20代の若者たちであることにも劇中で触れられています。

中原さんは、この焼身抗議全ての背景を追い、ひとつひとつを真実として伝えることを続けています。

それは決して、ただいかにも美しいこととしてではなく、どんな想いでその行為にいたっているのか、わからないからこそ追いたいのだと言います。

少なくとも、個人の苦しみからただ逃げるためではなく、”抗議=デモンストレーション”であり、誰もが、この焼身が最後であってほしいと願いながら自らのからだに火をはなつと・・・。

焼身自殺とは言わずに、

焼身抗議という表現をしている理由。

わたしたちにはこのほんのすこしのことばの違いに潜む奥深さを、到底理解はできないかもしれません。

劇中では彼らの最後に残したメッセージも公開されています。

10代の少女が最後に書いたであろう詩、

手の甲に書かれたチベット文字。

ただただ、『わたしがわたしでいる』という素朴な願いが、弾圧の元に叶えられないという現実。

 

途中、ふと、かつて第二次世界大戦時のまだ若い神風特攻隊員が家族へ残した手紙のことや、

子供の頃「はだしのゲン」で読んだ、『天皇陛下万歳!大日本帝国万歳!』といいながら自ら毒を飲んだり、崖から飛び降りて命を絶った国民のことを思い出しました。

 

もちろん状況は違うにしても、その奥にあるどこか共通しているものを、不意に感じたのです。

その当時をリアルタイムで生きていた誰に、『命を粗末にするなんて!』と言えたでしょうか。

けれども、とてもとても悲しい、時代を経ても、それを想うと胸が苦しい。

なんだか、同じような感情が湧き上がってきて涙がこぼれました。

わたしたち日本人にもかつて、きっと同じようなこころがあったのではないでしょうか。

 

わたしが感じたこと。

その行いがじぶんのものさしで良いか悪いかジャッジするためにこの現実に遭遇しているわけではない。

もっともっとその奥にある彼らの非暴力を貫くこころ、

『わたしがわたしでいる』と本来当たり前に与えられているはずの個性。

彼らの想いを通して、少しでも触れて、耳を傾けることが、わたしにできる祈りにも通じるのではないかと思いました。

同時に、今まさに、日本人ひとりひとりに問いかけられていることに対し、

じぶんのなかにある答えに目を向けるきっかけにもきっとなるのではないかと思います。

 

彼らの想い、表情、声、チベットの風、、、

そしてとっても陽気でフレンドリーな彼らの一面が見れるシーンもあります。

ぜひ、映画『ルンタ』を通して感じ取ってみてください。

 

(東京支部長・三村優子)

 

【渋谷イメージフォーラムでの上映時間】

8/14までは下記の時間です。

①12:30 ②14:45 ③17:00 ④19:05

以後、変更の可能性があります。終映日は未定。

渋谷シアター・イメージフォーラムTEL:03-5766-0114

イメージフォーラム公式サイト:http://www.imageforum.co.jp/theatre/

 

【今後の劇場予定】

8/22より大阪・第七藝術劇場

8/29より名古屋シネマテーク

9/5より横浜ニューテアトル

9/19より盛岡・中央映画劇場、長野ロキシ―、新潟シネ・ウインド、神戸・元町映画館 9/26より京都シネマ|10/3より富山・フォルツァ総曲輪、岡山・シネマクレール

近日上映:金沢シネモンド、浜松シネマイーラ、広島シネツイン、沖縄・桜坂劇場

※上映期間及び上映時間は各劇場にお問い合わせください。

http://lung-ta.net/theater.html

 

 

映画『ルンタ』の鑑賞券を、抽選で1名様にプレゼントいたします!

 

〈募集条件〉

現在、公開中の渋谷イメージフォーラムに観に行ける方。

鑑賞後、映画の感想を書き、レインボーチルドレンHPまたFacebookページでご紹介させていただける方。

 

〈応募方法〉

受付終了しました。

Facebookのこの記事のコメント欄に、応募の旨を投稿願います。

もしくは、info@rainbowchildren.holy.jpまで。

 

〈応募〆切・当選発表〉

応募状況をみて、Facebookページ上でお知らせいたします。