チベットで開催できないミス・チベットコンテストとは?


 

今年のミスチベット・コンテストが始まりました。

ミス候補がダラムサラ(インド北西部、チベット難民社会の中心)に到着し、6月3日から5日にかけてコンテストが行われます。

 

チベットで開催できないミス・チベットのコンテストを描いた映画

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ドキュメンタリー映画『ミス・チベット:ビューティ・イン・エグザイル(原題) / Miss Tibet: Beauty in Exile』は、中央チベット政府(チベット亡命政府)のあるインド領ダラムサラで、2002年から毎年開催されている「ミス・チベット」のコンテストに、米ミネアポリスに住むチベット人の祖父母を持つ少女テンジン・ケチェオが参加し、彼女を通してコンテストの模様と中国の支配するチベットの現況を描いた作品です。

ノラ・シャピーロ監督とミス・チベットの参加者テンジン・ケチェオが語った記事があります(シネマトゥデイより)。

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アメリカ人のノラ監督がチベットに興味を持ったのは大学で国際関係を学んでいた際、「ダライ・ラマ14世の書物を読んで亡命政府を知り、ドキュメンタリーを製作する前からチベットには影響を受けていたの。その後、子供が出演するシアター・カンパニーを題材にしたドキュメンタリーの撮影を通して劇作家と知り合ったの。その彼女がチベットを題材にした舞台劇を執筆していて、彼女によって、よりチベットへの興味が湧き、彼女の舞台劇を発展させた形でこのドキュメンタリーを製作することになったの」とチベットへの長年の思い入れがあったようだ。

テンジンは育った環境について「わたしの祖父母はチベットで暮らしていたけれど、(中国支配のため)インドに亡命したの。わたしが子供の頃、彼らは、あの時亡命できなかったら、隣人のように亡くなっていたと語っていたこともあった。でもそれ以降は、あの環境を思い出したくないのか、チベットでの出来事を語ることはなかった。インドで育った両親のもと、わたし自身もインドで生まれ、7才の時にチベット人の多く住むミネアポリスに移住してきたの」と明かした。

この映画は、海外亡命したチベット人の子孫が、チベット文化の伝達活動をし、よりチベットへの興味を駆り立たせてくれます。

世界中で注目を集め、2015年様々な賞を受賞しました。

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オーガナイザー:ロブサン・ワンギャルという男

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ミスチベットを主催するのは、レインボーチルドレンのメンバーでもあるロブサン・ワンギャルです。

メンバー紹介ページより)

中央チベット政権(CTA)公式記者、AFP通信記者でありながら、オーガナイザーとしてミス・チベット、チベット映画祭、チベット音楽祭ミスヒマラヤコンテスト等を主催し、チベットの国際的認知向上に向けて活動する熱い男です。Tibet Sun公式サイト

2012年に初めてダラムサラを訪れた時からの友人でもあり、レインボーチルドレンの活動を様々な面から支えてくれています。

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ロブサンは、チベット難民社会では誰でもが知る有名人です。派手なスタイルとおちゃれけたキャラクターから誤解されることもあります。数年前に日本のバラエティ番組で面白おかしくディスられたことがありましたが、真実は異なります。ある時、こう語ってくれました。

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「ダラムサラから国際的なイベントを発信することで、チベット文化の素晴らしさを世界中に知ってもらいたい。ミスコンテスト開催はチベット民族の女性たちが国際社会へ進出していくために、チベットの女性をエンパワーする目的なんだ。それらのことがチベット問題を解決することへつながれば。」

 

内面のうつくしさを競うコンテスト

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世界的にミスコンを非難する風潮もありますが、ミス・チベットやミス・ヒマラヤは女性の外面だけを競うコンテストではありません。

心の幸せを追求するチベットの文化として、内面的な美しさを競うコンテストと説明したらよいでしょうか。一般的な教養だけでなくチベット仏教の知識や、地域社会に貢献してきた実績、自分自身に対する自信をも問われます。知性やしなやかさという女性の内面的な美しさを競うのです。

スタンフォード大学教授のジル・ヘルムズ氏は人の美しさとは、親切や思いやり、内面の温かさ、逆境に立ち向かい克服する力によって決まるものだと発表しました。

美しさ、魅力というのは、内面から出てくるものなんですね。

  • 昨年の受賞者のコメントを紹介した記事です。

選ばれたミス・チベットは内外に向けて、チベット文化を発信する広告塔となります。過去は親善大使的な活動をヨーロッパで行ったこともありましたが、遠征予算などの費用が高額となるため、近年は思うような活動ができていません。

というのも、これらの国際イベントはすべてロブサン・ワンギャルの私費で賄われているのです。一部の個人スポンサーと、クラウドファンディングで資金を集めていますが、すべてが赤字です。

それでも、決して発信し続けることを止めないロブサン・ワンギャル。

彼のチベットを愛する心と、その活動を今後も応援していきたいと思います。

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最近は、あらゆる人を幸せに導くハピネスワークショップを世界各地で開催したりもしています。

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今年の春は、スタディツアー参加者に対してワークショップを開いてもらいました。

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ロブサンの幸せの波動が世界へ広がっていきますように。

 

 

 

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